みなさん こんにちは

今年の5月の茅ヶ崎は、上旬の長い連休の後、一週間ほど曇りのお天気が続きました。梅雨入りした沖縄よりも、一日の日照時間が短い日も。
曇りの日に紫陽花を眺めると「梅雨近し」と季節感を色濃く感じる一方で、
晴れると若葉の鮮やかさにハッとします。
植物の魅力はお天気によって異なりますね。

そんな中、今月は、庭木のような植物ではなく、御簾垣(みすがき)施工をさせていただいたお話しです。
和風庭園ならではの施工の一つだと思います。
見た目の玄人感は目を見張るものがありますが、馴染みが薄いため知らないことも多いです。竹内社長に質問していきました。

-まさに和風庭園の施工だと思います。おそらく竹で出来ているのだろうと推察するのですが、近寄って目にしたことがありません。

(竹内)最近はプラスチック素材を使用したものもありますが、基本的な材料は竹です。プラスチック素材のものは劣化しないため長持ちしますが、本物の竹の劣化は庭の“わびさび”を演出してくれます。劣化していくことで味わいが増し、雰囲気が出るのです。

-たしかに。人工物は近寄って見れば、見た目から「本物ではない」と判別できると思います。「味」は時の経過とともに変化することでしか生まれないですね。とは言え、自然物となると、虫がわかないか、朽ちてしまうことはないか、気になるところではありますが。

(竹内)
それが、実際は、虫がわく心配は、ほぼありません。柱材には防腐処理を施しますし、組み合わせている竹も焼きを入れた防腐処理をしています。竹そのものも、虫がわくことはほとんどないと考えていただいて大丈夫です。竹は繊維質が強い素材のため虫にも強いのです。

柱材を植えこむ様子です。柱材と横に渡す竹とで御簾垣は出来上がっています。
-そうなんですね!ということは木の生垣よりも虫の心配も少なそうですね。
今回の施工は施主様のご希望だったのでしょうか。こちらからご提案させていただいての施工でしょうか

(竹内)
施主様からのご希望です。家の建て替えを機に、元からの日本庭園を活かした眺めを和室から楽しみたいとのことで、お隣りとの境界部分を御簾垣で仕上げるご要望をいただきました。
竹垣には、様々な種類があります。高さや竹同士の組み合わせによって、完成形が異なります。

-一般的なイメージでは、施工の御宅のような竹垣ですが、他にも種類があるんですね。
岩やツツジの美しさが、御簾垣により映えます

(竹内)こちらの竹垣は建仁寺垣といいます、丸竹を使用した目隠しの要素が強いですね。
他には、竹を格子状に組み上げる「四ツ目垣」
四ツ目垣の高さを低く組み上げ、最上部に玉縁を横に走らせる「金閣寺垣」
竹を菱形に組み上げつくられる「龍安寺垣」などがあります。

-お寺の名前がついたものが多いですね。お寺の庭は、わたし達が身近に感じられる日本庭園ですから、竹垣は、その中で時間をかけて生み出された日本文化の一つであることを、改めて気づかされました。御簾垣の利用で気になることなど、さらに竹内社長に質問していきます。


-古くから伝わる日本庭園の施工の御簾垣ですが、その特徴について、いくつか教えてください。虫がわいたり、朽ちたりしにくいというのは前編でも伺いましたが、機能面についてどうでしょう。目隠しにはなると思うのですが、風通しが、まず気になります。

(竹内)
風通しに関しては、組み上げ方の違いから生まれる垣根の種類の違いによって多少違いがあります。
ですが、今回施工のような、建仁寺垣でも、小さな隙間が無数にありますので風通しに問題はありません。蒸れたり、こもったりすることも無いと思います。

竹の自然な丸みにより隙間が生まれているのが分かります
-そうなんですね。簾(すだれ)と同じようなイメージかもしれませんね。庭や家の採光についてはいかがですか。

(竹内)
こちらも、垣根の種類によって違いがあります。中には遮光するものもあるので、設置の場所や建物の方角位置関係など環境をもとに、判断する必要があります。

施工前の採光の様子と
施工後の採光の様子
-機能については心配しているような不便なことは少ないのかな、と安心しました。目隠しという意味では、御簾垣ではなく庭木の生垣を選ぶこともできると思うのですが、敢えて御簾垣を選ぶメリットを教えてください。

(竹内)
なんといっても、この味わいです。どなたの目にも、お庭のアクセントとして映えると思いますし、お施主様ご自身にとっても、新たに設置することで、なんとも言えない嬉しさを、日々、感じていただけると思います。
時間の経過とともに風化していくことで、見た目の味わいも変化し、それが楽しみの一つにもなります。

-石積み施工と同じような魅力ですね。古い=悪い、ではなく、別の味わいが生まれるというのは日本庭園の様式ならではと思います。

(竹内)
材料に自然の物をそのまま使用しているので、廃材を自然に帰すことができます。環境にやさしくサスティナブルな点も特徴です。

-これだけの技術は、職人さんも身につけるのが大変では?と思いますし、施工の費用も気になります。

(竹内)
垣根の種類によって、経験2、3年の職人が造ることができるものから、熟練した10年以上の経験者でないと造ることができないものなど様々です。ですが、制作頻度が一般的にも減っていることもあり、一度も制作したことのない職人さんもいると思います
費用については、数万円~数十万で施工が可能です。設置の幅や面積、垣根の種類によって異なりますので、ご相談いただければと思います。

-いかがでしたか。ご自宅のお庭の一部分に、雅な味わいの空間がある暮らしに、ちょっぴり憧れます。完成後は竹内社長のコメントのように「なんとも言えない嬉しさ」を日々感じていただけると思います。施工をご検討の方は、技術と経験、そして、日本的な景観美を形にできる、わたし達竹内庭苑にお任せください。お気軽にご相談ください。