みなさま、こんにちは。

今年の桜、楽しむことができましたか。
いまの地代は、SNSなどで全国各地の桜の名所の様子を目にする機会が増えました。南北に長い日本列島ですから、桜の開花も土地ごとに時間差がありますね。
昔にくらべたら、長い期間、桜で春を楽しむ機会も増えたように思います。

3年前に茅ヶ崎に遊びに来てくれた北海道の友人は、本州の桜、ソメイヨシノをとても喜んでいました。
写真や映像で眺めるのと実物とでは、木々の美しさやイキイキとした様が全く違い、感動も大きいですよね。

今月は、ある御宅の施工について、竹内社長に質問していきます。
写真で素敵に見えるお庭ですから、実物はさぞや素敵な雰囲気だと思います。
自然に溶け込みながらも、センスがカッコイイなぁと思います。

ところで。
このお写真を見ていただき、何かに見覚えのある方はいらっしゃいますか???
ピンとくるものがあるかもしれませんね。

-この御宅の手前の石積みは、一年前に施工させていただいた御宅ではありませんか?

(竹内)そうです。斜面の場所で周囲の景観との馴染みを考え、ブロック塀ではなく自然の石を積み上げたのが、1年前の夏前でした。
※詳しくはこちらをご確認ください。

-写真をみて、直ぐに分かりました。経年により、施工後の1年前よりも、積まれた石の味わいがみられます。苔が生えたり泥がついたりしていますものね。石の上に植えられた緑が本当に映えますね!

(竹内)そうですね。元から山林との境界に立てられた建物でしたが、石組みによって、自然に馴染んだ形になりました。

―石積を施工した場所も最適だったのかもしれませんね。

(竹内)
もともと風化した堆積岩の山石を使用しているのも良かったです。違和感を感じない景観になっていますね。

-施主様も喜ばれていると思います。そして今年は、石積みの内側の平らな部分を本格的なお庭にしようというご希望でしょうか。

(竹内)
そうですね。今回は、お施主様が中心となっての庭造りでした。
様々な樹種を今回植えましたが、それぞれの樹種の生産者の元にお施主様が実際に足を運び、ご希望の樹種を選ばれました。わたし達はその植栽を担当しました。

-樹種選びからお施主様が関わられたのですね。大事にされているのが伝わって来ます。この景観にとても馴染んでいると思いますし、なんというか、「オリジナル」さが伝わって来ますね。写真などで見かける戸建て住宅の植え込みや、日本庭園の植え込みとは、全く違いますね。

(竹内)この御宅は海が近く、山間部に建てられていました。一般的な樹種に限らず、野山に生息する樹種を選んだことも特徴ですね。

-施主様が選ばれた樹木は、どのようなものでしょうか。

(竹内)紫陽花や、住宅地の御宅のシンボルツリーにもなるシマトネリコ、日本の山に自生もしているアオダモなどを植えています。自生している樹種は管理もしやすく環境に馴染みやすいのが特徴です。

-アオダモは花も咲きますし、山の斜面というこの場所ならではの魅力にもつながりますね。斜面は角度があるため、咲く花や葉にも奥行きが生まれて、平地には無い魅力があると思います。

(竹内)ヤマモミジやヤマボウシ、といった山林に相応しい樹種のほか、ツワブキやツリバナ、ナツハゼといった樹種も選ばれていました。

-調べてみると、ナツハゼもツワブキも、観賞用だけでなく食用や生活の一部に用いることができるようですね。お施主様も、なにかの拘りがあってこれらを選ばれたのかもしれませんね。
植栽場所も、お施主様の拘りでしょうか?竹内庭苑としては、どのような視点でサポートされたのでしょうか?

(竹内)そうですね、配置場所も、最終的にはお施主様ご自身が決められましたが、わたし達は、実際の植栽施工の他には、植栽場所の選定や、「この場所にはこの樹種が良いです」というように、様々選ばれた樹種の使い分けについてのアドバイスをさせていただきました。

―確かに。景観を美しく見せるには、経験によるものや専門の技法もありそうですし、樹木そのものの性質を活かすには、日当たりや温度湿度などの自然の環境条件も影響ありそうですね

(竹内)植栽のポイントは、①常緑樹と落葉樹の使い分け、②日の入り方、③奥行き、などが挙げられます。特に、美しさと生育の双方を満たすには、一直線上の等間隔の配置や正三角形の配置を避けるなど注意が必要です。季節の変化に伴った配置で、さりげなく植えていく、形でいうと不等辺三角形に植えるのが日本の自然的な技法です。

―それらの造園技法や経験ならではのアドバイスの結果が、このお庭ですか。無造作なようでいてバラバラではなく、全体的に自然体の美しさがあると思いました!オリジナルでありがながら正統派、という印象です。「不等辺三角形」というのはイメージが湧きやすいです。

(竹内)
住宅前からの目かくしの要素もありますが、背の高い樹種も周りとの一体感があります。裏の山林の景色とマッチしていて違和感も特に感じられないと思います

-庭に配置された庭石がまた、一年前に積まれた石とも合いますし、積み上げられた石の隙間に植わっている植物が、またいいですね!

(竹内)
石の隙間には、シダ類やツワブキなど、日陰で湿度が高い場所でも育つ草花を用いることが多いです。全体的にとても良い景観に仕上がりました。これからどのようなお庭になるかが、わたし達もとても楽しみです。

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 いかがでしたか。
今回は、施主様のご希望をベースにお庭造りをさせていただきました。
庭も住宅の一部、生活の一部です。
御自宅内の家具や色を楽しむように、植栽についてもご自身で選ぶことができますし、様々な楽しみ方があります。
その際、わたし達の、樹種についての専門知識と、景観美を創り出す芸術的な視点をお役立てください。
正確さと美しさ双方を得られるように、お手伝いさせていただきます。