みなさん、これって見たことありますか?

これはシイタケです。

シイタケは椎茸と書きます。
シイタケはシイノキ(椎の木)に生えます。
だから、シイタケは椎の「木の子」です。

シイタケは、枯れたり、切り倒されたりしたシイから生えてきます。
ちゃんと生きて立っているシイからは生えてこないのです。

シイタケが生えてくると、栄養を取られたシイはぼろぼろにくずれて
くさってしまいます。

シイといえば、関東ではこのスダジイです。

シイタケは、切りそろえたクヌギの木などで
人工栽培(原木シイタケ栽培)してもつくられます。

シイタケを生やすことができる木たちを集めると、
左から、スダジイ、コナラ、ミズナラ、クヌギ、となります。
これらはみんな、ブナ科の樹木です。

幹の樹皮では樹木の違いがよくわからないので、
葉の形でくらべてみることにします。

同じブナ科の樹木でも葉の形は微妙に違うものですね。

ちなみに、スダジイは1年じゅう緑色のまま紅葉しない常緑広葉樹で、
コナラ、ミズナラ、クヌギは秋になると紅葉(黄葉)する落葉広葉樹です。

やや脱線しました。話をキノコにもどしましょう。

それでは次に、これってなんですか?

これはマツタケです。

松の木に生えるから、マツタケは松の「木の子」です。
松の中でもアカマツによく生えます。

では、ここで頭を使って、クイズといきましょう!

「マツタケは、土の中の何から生えてきたのでしょう?」

次の3択から選んでみてください。

㋐枯れたマツやマツの切り株

㋑生きているマツの根っこ

㋒その他のもの

*          *          *

マツタケは生きているマツの「根っこ」から生えてきます。

シイタケのように「枯れ木や切り株」から生えてきません。
ましてや、マツの「枯葉や松ぼっくり」からも生えてこないのです。

マツタケは、マツの根っこから栄養(エネルギー)をもらい、
その代わりに、根っこからマツにミネラルや水分を与えているのです。

ですから、マツタケは、シイタケのように木をくさらせたりしないのです。

マツタケとマツは、お互いに助け合って生きているというわけです。

*          *          *

それなら、マツタケには「根っこ」があるのでしょうか?

土の中をもう一度のぞいてみることにしましょう。

おや? キノコの下からでてきた、白い綿のようなものはなんでしょうか?

カビ・・・、それとも根毛・・・。

いえいえ、キノコに根っこはありません。

これは土の中に広がる、キノコの菌糸体(きんしたい)です。

キノコといわれている部分は、子実体(しじつたい)といい、
ここから空中に胞子を飛ばします。

菌糸体も、子実体も、菌糸が集まってできています。
からだじゅう菌糸でできているのです。

そのうち、子実体をつくる生物を「キノコ」と呼び、
一生、子実体をつくらない生物を「カビ」と呼んで区別しているわけです。

それで、キノコとカビは同じなかまとし、「菌類(真菌類)」といっています。

*          *          *

シイタケの菌糸体がクヌギの中に広がっています。
この上から子実体のシイタケが生えてきます。
クヌギはくさってきます。これを腐朽(ふきゅう)といいます。

マツタケの菌糸体がアカマツの根にくっついています。
この、菌糸体+根、を菌根(きんこん)と呼んでいます。(右はそのアップ)

「キノコ」は自分では栄養をつくれないので、
木から栄養をもらう「木の子」ですが、

この2つのタイプがあるわけです。

よく知られている腐朽菌です。(天然、栽培、樹種)

正解は、上から、エノキタケとエノキ、ブナシメジとブナ、
ナメコとブナ、マイタケとミズナラ、となります。

よく知られている菌根菌です。(樹種A、天然、樹種B)
このキノコは2種類の木と菌根をつくります。

正解は、コナラ、ホンシメジ、アカマツ、です。

*          *          *

樹木は、地下の菌根菌を通じて、別の樹木の根とどんどんつながっていきます。

森や林の地下には、地上では見えない広大な菌根ネットワークが存在していて、

たくさんの樹木がお互いに助け合って生きているのです。

(おしまい)

【出典リスト】
1、「きのこ好き中学生 和田匠平の きのこ日記」
2、「浮間わいわいねっと」
3、「ウィキペディア シイタケ」
4、「木のメモ帳 木の雑貨帳」
5、「もりのかんさつ」
6、「Quercusのブログ」
7、「葉と枝による 樹木検索図鑑」
8、「まつたけ山復活させ隊運動ニュース」
9、「もちさん奮闘記」
10、「森と水の郷あきた」
11、「バイオウェザーサービス 生きもの歳時記」
12、「自然の便り・岐阜かかみ野から」
13、「Farmer's House SAWA」
14、「続々・黄土高原レポート」
15、「マツタケの栽培化に向けた取り組み」
16、「ウィキペディア エノキタケ」
17、「ウィキペディア ブナシメジ」
18、「ウィキペディア ナメコ」
19、「ウィキペディア マイタケ」
20、「きのこや」
21、「森を育てるキノコ」
22、「菌類のチカラが人類を救う Super Fungi」