
みなさん、こんにちは
今回の庭師紹介は、一柳(いちやなぎ)さんです。英語を使いこなす専門職として30年以上、オフィスワークに従事されてきた中、第二の人生として選んだのは、竹内庭苑での造園の仕事でした。
(一柳)
20代の頃は海外営業の仕事に3年間従事し、その後、都内の弁理士事務所に32年間勤務していました。外国の方が日本で特許申請を行うための手続きを進めるのが私の仕事でした。お客様とは英語でやりとりする日常も、数年後の定年を控えていました。雇用延長の話もいただいていましたが、これまで事務職で頑張って来たので、第二の人生は自分の好きなことをやってみたいと思い、外で働く仕事、体を動かす仕事を探し始めました。
-朝早く起き、ランニングと筋トレをしてからの通勤が日課だった一柳さん、もとから体を動かすことが好きなうえに、外での仕事として頭にうかんだのが、庭づくりの造園の仕事だったそうです。
(一柳)
自宅の庭を自分で作り、30年以上、自分で手入れしてきました。庭には高さが様々な木がたくさん植わっていますが、山に入り自分で木を選び、職人さんに植えてもらいました。常緑樹や落葉樹など織り交ぜ、夏に咲く花や冬に咲く花など季節に応じて楽しめるように自分で調べて木を選びました。フェンスやタイルも自分で材料を選び準備して、職人さんに造ってもらいました。あの木はここに植えて、この木はここに植えて、と場所を決めて。庭づくりが好きだったので、刈ったり整えたり日頃の手入れも自分でやって来ました。
そんな理由もあり、「外で体を動かす仕事がしたい」ことに加えて、「好きなことを仕事にしたい」と考えたら、第二の人生に選ぶ業種も必然的に造園会社に絞られて、偶然のタイミングでこちらの求人に出会いました。自分も応募できる条件でしたし、職人記事や施工実績などホームページも充実していた点も応募の決め手でした。

―「自宅や実家の庭木の手入れをしてきたから」と造園会社を選ぶ方はいらっしゃいますが、植える木の選定や位置からこだわりをもってご自身でやられていたというのは、本当に庭や木がお好きなのだと思います。初めての造園業の仕事はいかがでしたか。
(一柳)
最初の仕事は10月7日、二宮団地の中の現場でしたが、その日から今日まで、毎日楽しく仕事をさせてもらっています。一日体を動かして汗を流して働いた充実感を感じますし、時間内に作業を終了させるため、先輩みなさんと一緒に取り組むときなど、セロトニンというのかな、幸せホルモンが出るような感じがして、とてもやりがいを感じます。
今までは、お客様は事務所に来てくださったので、朝、机についたら一日中動かないような。木じゃありませんが、その場に根づいてしまうような、ブラインドが閉められた部屋から外に出ることもない毎日でした。今は、太陽の下で仕事ができるのが、とにかく気持ちがいいです。仕事が終わっても疲れを感じないというか、充実感ですね。今日も公園の遊具の工事を担当しました。毎日現場が変わるのも楽しいです。
ー確かに、これまでのお仕事とは頭の使い方や運動量など大きく違う点もあると思います。竹内庭苑は公共工事や大規模集合住宅の管理など、スケールの大きな現場が多いことも、一日終えた後の充実感に繋がりやすいかもしれませんね。入社して3ヵ月が過ぎましたが、これまでの印象深い現場は何でしょうか。
(一柳)
林の樹木調査を担当させてもらったのですが、結構大変でした。マンションの敷地内の林で、中には住人の方が歩いて楽しめる園路もありました。林の中に植えられている樹を、場所を特定し、種類や直径の太さ、樹皮の状態や高さ、葉が枯れていないかなど、及川さんを手伝いながら一本一本調査して記録していきました。
枝ぶりや形で木の種類を特定するのですが、上の方で葛の葉やツルが絡まっていたりすると分かりにくいですし、葉が落ち始めている季節でしたので、時間が経つと葉が無くなり調査が難しくなります。大変でした。

―木に関する知識が無いと、種類を見て判別できませんし、難しいこともあったかもしれません。枝ぶりや形で、「これは欅」というように種類が分かるのは、長年ご自身の庭の手入れをされてきた経験が活かされているのかなと思います。歩き始めた造園の世界ですが、今後の目標や取り組みたいことなど、教えてください。
(一柳)
自宅の庭を手入れしてきましたが、仕事として行うのは全く違うと感じています。速さと品質が求められるプロのレベルの高さを実感しています。
今は、草刈りの現場での掃除や、機械を使った草刈りを担当することが多いですが、使う機械にも種類がたくさんあります。それらの道具を安全に使い作業ができるようになることが、まず最初かなと思っています。
刃のついた道具を使うので、街路やマンション敷地内での作業は、通行人の方や車に危険が無いように注意して行います。斜面や法面での作業の場合は、足元も安定せずに危険です。パッカー車に刈った草を積み込む時も、自分の服が引っかかって巻き込まれないように気をつけなければなりません。
重機を使った伐採など、造園の仕事は大掛かりに見える部分がありますが、実際に行う作業は細かく繊細な面も多いなと感じています。安全第一で道具をスムーズに使えるようになって、いずれは必要な資格も取得していきたいです。
―「植木屋さん」の一般的なイメージとは違い、竹内庭苑の仕事は幅広いです。身につけることも多くあります。
(一柳)
ランドスケープというのでしょうか、美しい景観をつくることにも関わっていきたいなと思います。自分もご近所の方に「木をきれいに植えてくれてありがとう」と言われますし、キレイな街に住みたいと思う人は多く居ると思います。竹内庭苑として2027年の花博に出展も計画しているようなので、先輩方のお手伝いができればと思っていますし、英語を話せる点を活かして、今後外国人の方を相手にする時には力になれればと思います。
木をご自身で選び庭づくりを楽しまれて来た一柳さんの視点とこれまでの経験がどのように活かされるか、今後の活躍が楽しみです。