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夏休み、ハイキングへ行って、
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霧の中、道に迷った…
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コンパスもない…
さあ、どうする?
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ある人は「切り株を見ろ」という。
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「切り株がコンパスになる」
というのだ。
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「年輪の幅が広い方向が南だよ」
理由は太陽がよくあたる南側の成長が大きいから。
みなさんはこの考えをどう思いますか?
ア.正しいと思う
イ.まあまあ正しいと思う
ウ.正しくないと思う
正解はウで、正しくないです。
これを信じて方向を決めて進むと、とんでもない所へ行ってしまいます。
それなら、どうして年輪の幅が広くなってしまったのでしょうか?
* * *
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急斜面になにやら針葉樹が生えています。
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正解はアで、谷側が広いのです。
針葉樹は押しつぶしに強い「リグニン」(たとえはコンクリート)をつくり、谷側を厚くして樹体を支える特徴があります。スギやヒノキなどがこれにあたります。
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今度は、斜面になにやら広葉樹が生えています。
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正解はイで、山側が広いのです。
広葉樹は引っ張りに強い「セルロース」(たとえは鉄筋)をつくり、山側を厚くして樹体を引っ張り上げる特徴があります。サクラやケヤキなどがこれにあたります。
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このように、木は傾いたときの支え方が、針葉樹と広葉樹とでは違っています。
支える材を「アテ材」と言います。木材としてはくるいが出たりするので、避けられがちですが、木が身体を支えるための重要な働きなのです。
それなら、平地で台風などで途中から傾いてしまった樹木の年輪はどうなるのでしょう?
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はい。年輪にはちゃんと過去の記録が残っているのです。
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「太陽がよくあたる南側の成長が大きいから、年輪の幅が広い方向が南だよ」
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樹木は、葉で光合成をします。
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葉でつくられた養分は師管、内樹皮を通って下に降りてきて、それを使って樹皮と木部の間にある薄い形成層が細胞分裂して、年輪を作りながら外側に木が太っていきます。
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ですから、光のあたる方向と年輪のでき方は一切関係ないのです。
みなさん、遭難しないようにしましょう。
ー おしまい ー
《お知らせ》
一身上の都合により、しばらくの間、スダ爺の樹木話をお休みします。復帰の際にはまたご覧いただけると嬉しいです。(スダ爺)
【出典】
01)Pixabay
02)写真AC
※使わせていただきありがとうございます。