みなさんこんにちは。
9月に入り、茅ヶ崎も少しずつ秋の気配を空気の中に感じるようになりました。
しかし、今年の夏は本当に暑かったですね。
これも地球温暖化が進み気候に影響が出始めている所以なのでしょうか。

前回8月は、神奈川県湘南、大磯海岸に近いお宅の屋上緑化についてご紹介させていただきました。
弊社のある茅ヶ崎市も南側は海岸の潮風の影響を受けます。自転車が錆びる、風の強い日は長時間、洗濯物をベランダに干すことができないなど、その土地ならではの自然環境の影響があります。
それは植物も同じです。地域の風土や環境の影響を、植物も同じように受けます。

そこでご提案するのが、地域の風土や環境に合った植物を取り入れた庭造りです。
お庭に、在来の植物を植えたり、その土地の自然物(石や砂など)を使用するのは、どうでしょう。

今月は、地域特性を生かした庭園について竹内社長にインタビューしていきます

-まずは、これまでの庭園は、一般的には、どういった視点で作られていたのでしょうか。

(竹内)今までの庭園設計では、【和風】【洋風】というようなイメージで設計されたお庭が多いと思います。

-たしかに、「日本庭園」「イングリッシュガーデン」というような文化のイメージでお庭のテイストが変わるように思います。

(竹内)一方で、提案していきたいと考えているのは、一つは【地域特性を生かしたお庭】です。
【植物の持つ性質】と、【その土地ならではの景観】の2点から、
地域の特性が生かされた庭も良いのではないか?と思うのです。

海岸に近い地域ならではの植物を取り入れました
-登山をするような山には高山植物が生息しているように、その土地・その環境だからこそ生育する植物がありますね

(竹内)そうなんです。
在来種の植物や、その土地・その地域に生息している植物で構成した庭をつくることは、地域の生態系や植生を維持することにもつながると思います。
また、風土や環境が生育にも適しているので、化学肥料や農薬の使用も軽減できると考えられています。

-昔からその環境下で育ってきたということは、その環境が合っているということですしね。特別な力を与えなくとも、環境条件さえそろえば、十分に生育すると思います。

(竹内)地域特性を生かした庭づくりの、もう一つ良い点は、景観の点です。
その地域に適した植物で庭園設計を行っていくことで、その地域の特色が生まれます。
地域全体で行っていくことで統一感も生まれ、独自で美しい景観につながります。
こうした取り組みが日本各地で行われると、美しい日本の景観にもつながると思います。

-地域の植生を庭づくりにも反映させるという視点は、これまであったようで無かった、けれども、ごく自然な考え方だと思います。
「その地域に合った在来の植物」という視点は、知らないことも多い分、新鮮に感じます。
手前の石材が小松石/中央部の砂利は大磯砂利を使用しています

(竹内)今回の施工では、乾燥に強い在来種のコウボウムギ、ハマエンドウ、ハマボウフウなどの海岸植物を屋上緑化に使用しました。また、周囲を囲んだ石材も、小松石や大磯砂利を使用しています。

-植物のみならず使用の石材にも地域特性が生かされているようですね。

-屋上の土壌流出を防止する役割もあって積んだ石材も、この土地ならではと聞きました。

(竹内)小松石と大磯砂利を使用させていただきました。
施主様のこだわりの詰まった大切なお宅のコンセプトにも適していると思いました。

銘石の小松石は日本三大ブランド
-小松石は、大磯町も近い真鶴町で採石される日本の銘石、ブランド石の一つです。約40万年前の箱根火山の噴火により流れ出た溶岩が海に押し出され、急速に固まって形成された安山岩とのこと。同じ相模湾沿いの町ということも、地域性を感じます。大磯砂利も有名ですね。

(竹内)地域の特色は日本全国それぞれに異なります。
その土地でしかできない庭づくり、とても良いと思います。
もう一つの視点は、環境から庭を考えるという点です。

-環境から庭を考えるとは。たしかに庭も自然を体現していると思いますが、ある部分で、人工的なものでもあるので、「=環境」というと、どういうことなのかな?と気になります。

(竹内)日本の伝統的な庭園は、時代の思想と共に変化発展してきました。
その時代その時代の大切な価値観や考え方が、庭づくりにも影響してきました。
時代背景が庭づくりに影響してきたと言えるでしょう。

-たしかに。まだまだ争いごとの絶えなかった室町時代と200年以上平和が続いた江戸時代とでは、庭作りの技法や技術も違いがあると思います。

(竹内)近年、エネルギーの点や環境の点が、次世代の地球を考えるうえで、課題となると思います。
湘南地域も海岸浸食問題が深刻に唱えられていますし、
いま、日本各地で海浜植物の保護の重要性も多く指摘されています。

―庭をつくってきた時代背景として、現代は【環境】という視点が重要だということですね。植物にとっては、これまでの庭を作ってきた要素=文化や思想、とは全く異なる要素だと思います。生育や存続にも大きく影響しますから。

(竹内)そういった点もあり、今回の屋上緑化の際も、海浜植物を取り入れさせていただきました。
庭に植栽することで、海沿いの町、大磯海岸ならではの自然を身近に感じていただき、これら植物の未来を左右する環境についても考えるきっかけとなれればと思います。

-いかがでしたか。今月は、新しい視点【地域】【環境】にもとづく庭造りについてご紹介させていただきました。
その地域ならではの自然体な景観美を、庭を通してみなさまにお届けできればと思います。ご不明な点など、お気軽にお問合せください。