みなさまこんにちは
9月に入り秋めいて来ましたね。空気が乾いてきたのを感じます。
あとひと月もすると徐々に紅葉も楽しめるようになるのでしょうか。
自宅で紅葉が楽しめるような暮らしに憧れます。
そんな中、先日、竹内庭苑では、西湘地区の御宅で新規造園を担当させていただきました。
8月のお仕事話「芝生編」に続き、
今月は、新たに庭を造る際、抑えておくと良い流れやポイントを竹内社長に聴いてみました。
-マイホームを建てる時などは専門家に依頼してデザインや間取りなどを相談する方が多いかと思います。一方で、庭をまったくのゼロから造りたいとき、完成まで、どのように進んで行くのでしょうか。
(竹内)工程としては、①打ち合わせ → ②全体のデザインと植木の選別決定 → ③工事、の大きく3期に分かれます。この中で、施主様と一緒に進めて行く工程は、①と②です。そして、④引き渡し後に気に掛けることもあります。
-一つひとつ順を追って確認していきます。まず、①打ち合わせ ですが、どのようなことを決めて行くのでしょうか。依頼する段階では、「あの辺りに紫陽花を植えて、こちら側にはシンボルツリーを植えたい」というように、こちらの希望を出せばよいのでしょうか?
(竹内)①打ち合わせ時は、樹種や場所についてのご希望を伺う前に、まず、生活スタイルや好みのデザインをお聞きします。生活スタイルとしては、昼間の時間帯をご自宅で過ごすことが平日も多いのか、お休みの日に限られるのか、家族構成、庭をどのように使っていきたいか、など、生活全般についてヒヤリングしていきます。
-なるほど。いきなり具体的な植物の名前を挙げるのではなく、新しい家と庭で、どのように暮らしていくか、がベースにあるのですね。デザインについてはいかがでしょうか?依頼する側としては、何を考えておけば良いのでしょう。
(竹内)「和風」「洋風」というように、デザインに一定の違いは確かにあります。
基本的には
和風=自然にある風景を元にしたデザイン構造で配植する
洋風=構造物に対して並列や規則的に配植する
といった違いがありますが、最近は「和風モダン」などデザインも様々です。
「和風」「洋風」と括るのではなく、ご自宅や周辺の景観、環境に合ったデザインをお勧めしています。
-家や周りの景観と馴染みやすいかどうかが重要なのですね。自宅の外までを含めた全体との調和が大切ということがよく分かります。
新たに庭を造るにあたり、家での暮らしや生活の一部として、庭を捉えて造っていくことが必要なのだと感じます。工程②全体のデザインと植木の選別決定 以降を、竹内社長にインタビューしていきます。
「新しい庭」は、どのように完成していくのでしょうか。
-樹木を植える時、最近では「シンボルツリー」として、印象的な樹木を庭に植える方もいらっしゃいますが、植木を決めるにあたりポイントはどこでしょうか。
(竹内)お打ち合わせをもとに、生活スタイルと庭全体のデザインに合った性質の樹種を選び、ご提案させていただきます。植物は何十年もかけて成長し大きくなっていくものです。その点をふまえ、植える場所に合わせてご提案しています。広い空間なのか、狭い空間なのか、植樹後も視野に入れて樹種を選び植えていきます。
-確かにそうですね。今日明日の変化は見られなくても年月を経ると大きくなっていきますね。シンボルツリーはお子様がいらっしゃる家庭などは、お子さんの成長とともに大きくなっていくのも感慨深いものがありそうです。比較的選ばれているシンボルツリーについて、教えていただけますか。
(竹内)人気の樹種では、シマトネリコ、モミジ、ヒメシャラ、アオダモ、ハナミズキ、ヤマボウシ、オリーブ、などでしょうか。これらの樹種は育てやすく、管理も容易です。
横に広がりやすい樹種(オリーブなど)
縦に大きくなる樹種(シマトネリコなど)
紅葉がきれいな樹種(モミジなど)
花が綺麗な樹種(ヒメシャラ、アオダモなど)
害虫に強い樹種(アオダモなど)
生き物ですので、人と同じように個性も様々です。植える場所を考慮し、どの樹木にも、必ず、メリットとデメリットがあることを踏まえて選ぶのが重要です。
-自然も人と同じように、変化するのが言わば当たり前ですからね。こうして全体のデザインと植木が選別できたら、③工事ですね。工事はどのように進んで行きますか?
(竹内)庭工事、そして外構工事が完了後、順番に植えていきます。高木 → 低木 → 下草 → 芝張り、という順番です。完了すると、潅水(かんすい)と清掃を行い、完了となります。
-実際に工事の段階に入ったら、依頼する側としては一安心ですね。あとは、引き渡しを待つばかり。胸が膨らみますね!
(竹内)そう思われますよね。植物が徐々に植えられて行ったり、石組みなども完成し、無事にお引き渡しで「ようやく!完成した!」と思われる方も多いと思いますが、造園工事で実は一番気にしていただきたいのが、引き渡し時点で完成ではない、ということなんです。④引き渡し後に気に掛けることも大切にしていただきたいと思います。
-引き渡しで完成ではないのですか!それは考えもしませんでした。具体的にはどういうことでしょうか。
(竹内)植栽で見落とされがちなことに、土壌の状態があります。せっかく植えた植物も土壌が悪いことにより生育不良になり、それが原因で病害虫などの弊害を誘発しやすくなります。引き渡し後の様子の確認は多くの方が見落としがちです。ぜひ、その後の日々の生活の中で、庭木の状態を気にかけてもらいたい点です。
-なるほど。暮らしていく中で植物の生育のほかに、目を向けてみると良い点はありますか?
(竹内)そうですね。日本は高温多湿な気候です。それにより、石材や素材も経年で風化し、景観に変化を与えて行きます。季節を重ねるごとに味のある風合いになります。この点も楽しんでいただけると良いと思います。