みなさん こんにちは

今月から、竹内庭苑の「お仕事話し」を担当することになりました。
自分も庭や自然が好きで育ちましたが、造園についての仕事は初めて。
大好きな自然を扱う会社の仕事に関わることができ、うれしいです。

とは言え、造園の世界は知らないことがたくさんあります。
今回から、造園の仕事、庭師の仕事について、竹内社長にインタビューをしていきます。どうぞよろしくお願いします。

先日の、竹内庭苑の公式インスタグラムに掲載されたこちらの写真
みなさん、御覧になりましたか

「…お城か!?」と驚きました。

これは、どんな施工か、どこに施工したのか、こんなこともできるのかと
社長に聴いてみたいことが興奮でふくらみます。

数日後、タイミングよく、社長にお話しを聴くことができました。

-こういう作業も庭師の仕事なんですね。気になることは色々あるのですが、そもそも、施主様からは、どのような要望があったのでしょうか?まるでお城のようですが、最初から、この形でのご依頼だったのでしょうか?

竹内:このお宅の現場周辺は、山林に囲まれ、自然豊かな環境にある住宅でした。隣りの敷地は市のもので、落差のある境の下には、旧用水路があり、ご要望としては『雨水などによる土壌の流出を防止したい』というご希望でした。

-写真のように石を積む施工は、社長から提案されたということですか?

竹内:そうですね。周囲の山林との景観的な調和も持たせつつ、土壌の流出を防ぐという機能を考え、自然石の石組みをこちらから提案させていただきました

-造園会社は庭の剪定をするのが仕事だと思っていたので、こんな事もできるのかと驚きです。ただ、他の一般的な方法としては、ブロック塀を境に立てるような方法もあると思うのですが、敢えて、自然石での石組みを提案ですか?

竹内:そうなんです。石積みの方が、良いところがたくさんあるんです。
1つ目は、何といっても、このデザイン性です。毎日暮らす住宅ですから、景観の面で、ブロック塀よりもご満足いただけるのではないかと思います。

-たしかに。自分の家に、こんなカッコイイ場所があったら、写真にとって自慢したくなるかもしれません。いい感じに味があります。

竹内2つ目の良いところは、意外に思われるかもしれませんが、コストの点です。ブロック塀はコンクリートや鉄筋を使いますが、石積みの施工は石と骨材で済むので、ブロック塀の施工よりもコストを抑えることができますこちらの御宅では、広さは1.5平米程度でしたが、材料施工費併せて45,000円程で施工させていただきました。

-そうなんですね、それは意外でした。まるで、お城のような施工。さぞや費用もかかるのかと思っていましたが、ブロック塀よりも安くできるんですね。

竹内3つ目の良いところは、災害に強いこと。大きな地震や自然災害で崩れてしまった場合、ブロック塀は壊れてしまえば終わりです。ですが、石積みの施工ですと、崩れた材料をそのまま再利用することもでき、修復時間やコストの面でも、「災害に強い」と言えます。

-その点は全く気づきませんでした。確かに、割れて崩れてしまったブロックは再び使うことができませんが、石や岩なら組み直すことができそうですね。

-それにしても、本当に驚きました。個人邸の周りも、石と岩で、まるで日本庭園のような外観になるんですね。職人の技を感じさせますが、やはり特別な技術なのでしょうか。

竹内:石をこのように積んでいくには、いくつかの基本的な手法があります。【野面積み】【切り込み接ぎ】【打ち込み接ぎ】など、様々に手法があります。
ただ積み上げれば良いのではなく、美しく見せるには技術が必要です。もちろん強度を保つことも必要です。栗石や礫を入れて透水性を高め崩れない様に補強する「裏込め」という技術で施工しています。

-なるほど。技術となると、まずは身に着いてないと施工もできませんし、経験がなければ、美しく仕上げることもなかなか難しいですよね。

竹内:そうですね。庭木の剪定と同じように、やはり、正しい技術を身に着け、経験を通して上達させることが必要ですね。石面の向きや、大小ある石の使い方、石と石の重なり具合、石の目地の通り方など、意識する点は細部にわたります

-完成物はダイナミックですが、作業するときは細かい部分に神経を使い意識を向けることが必要になりそうですね

竹内:技術と経験とその場での集中力、すべてが揃うと、機能性充分で見た目も美しい仕上がりになりますね。作業時間は6時間程でした。

-施主様のご感想をお聞かせください

竹内施主様には、石がきれいに積まれ、美しく仕上げていただいたと大変喜んでいただけました。私たちとしても嬉しいです。

-それは良かった。社長のこれまでの経験から、石積みを効果的に使えるおススメの場所を教えてください

竹内:「より良い景観を」と考える場合、石積みは場所を選びません。アプローチや花壇、階段、床など、古くから様々な箇所で利用されています。建物や周囲の景観と馴染む石材を選んだり、全体を見てのデザインを考えることで、景観が見違えるほど良くなります

-知らなかっただけで、手軽にお願いできるとしたら、とても満足できると思いました。毎日目にしても飽きが来ないだろうなとも思います

竹内:そうですね。自然物ですから、時間の経過とともに、苔むしたり、風化もあります。それにより味わいの変化も生まれて、月日が経つことでますます楽しむことができるのも、石積みの魅力だと思います。

-長く暮らしていけばいくほどに、自宅の庭が好きになりそうですね。

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いかがでしたでしょうか。
庭師のNi-Wa SHIGOTOでは、庭 Ni -Wa「仁」「和」をテーマに
庭師の仕事をご紹介していきます。次回もお楽しみください。