みなさま こんにちは。7月に入りました。
先月からスタートした「庭師のNi-Wa SHIGOTO」。今月も、人を大切にするように自然を大切にする心を(仁)、日本風の庭園を造り出す確かな技術で(和)、みなさまにお届けしたいと思います。

先日の、竹内庭苑公式インスタグラムで紹介されたこちらの写真。みなさん、御覧になりましたか?


まさに、「植木屋さんの仕事!」という印象では無いでしょうか。早速、竹内社長に、今回の庭師の仕事について、質問しました。

ー普段見ることのない植木の状態。力仕事であるだけでなく専門技術も必要になることが一目で感じられます。

竹内:樹木の移動には、比較的容易なものから、難しいものまで、様々あります。移動の時期や、移動する樹木の状態によって、施工の難易度は決まります

ー簡単に出来る場合もあるのですね。とは言っても、なによりも気になるのは「別の場所に植え替えをしても、ちゃんと生育していくのか?」という点です。

竹内:確かにその点は気になる方も多いと思います。せっかく移植させたけれど、育ちが悪くなってしまっては元も子もありません。その樹種が移植に向いているのか、移植の時期は適切か、というような条件をまず考える必要があります。時期でいうと、常緑樹は春先、落葉樹は落葉後の休眠期が最適です。これらの条件を踏まえることに加えて、移植後の管理も重要です。

ーふさわしい時期に行えば、別の場所に植え替えをしても、大丈夫なのですね。安心しました。移植に向いている樹木、向いていない樹木はありますか?

竹内:移植に向いている樹木、移植が難しい樹木の違いは、もちろんあります。これまでの経験を踏まえると、日常の剪定や刈り込みに強い樹種は、移植にも強い印象です。一方で、フジやボタン、沈丁花などは移植が難しい場合もあります。また古木や大木の移植も難しいですね。

今月は、みなさんもひょっとしたら施工の様子を「見たことある!」かもしれない、樹木の移植(移動)について、竹内社長に質問していきます。

-移植をご依頼いただく場合は、どのような場合が多いのでしょうか

竹内ご自宅のリフォームや建て替えをされるタイミングにある方が、残せる樹木は残したいから、という理由で移植をご要望いただく場合もございます。「先代が大切にしていた樹木だから御自分の元で残したい」と、ご要望も多いですね。

-樹木は鉢植えなどの植物と違い、長い年月を掛けて生育していくものですから。年月の長さの分、施主様の想いも深いものがあるかもしれませんね。ご要望いただく場合もあると思いますが、プロの視点からみて、「移動をさせた方が良い場合」はありますか?

竹内:移植をさせた方が良い場合は、あります。樹木には、【陽樹】と【陰樹】の種類があります。生育に適した日光量の違いで区別されています。たとえばアオキという樹木は【陰樹】の仲間で、生育に必要な日光量は比較的低い樹木です。にもかかわらず、日当たりのよい場所に植わっていると、傷みやすくなります。こういった場合は、移植をさせた方が良い場合にあたりますね。

-日当たりの違い以外にも考える要素はありますか?

竹内土壌の温度も考える必要があります。花壇の土壌は地熱が高くなる傾向がありますので、別の場所に移植を検討された方が良いこともあります。土壌の温度だけでなく、乾燥や湿気の状態も生育には影響します。それらを踏まえて、移植をした方が良い場合もあります。

-そうですか。様々な環境要素を考慮して、さぁ、移植をお願いしたい、となった場合、作業時間や費用は、どれくらいになりますか。

竹内:樹種や樹木の状態により、移植の技法が変わります。【溝堀り式】【断根式】【追い堀】【ふるい堀】など幾つかの技法の中から適切な技法で行いますが、作業時間や費用は樹種の大きさや植わっている場所、土壌の条件によって変わります

-これまでの社長が関わってこられた中で、注意点はありますか。

竹内:ご要望にすべてお応えできれば良いのですが、移植しても活着しない場合もあり、樹木にとってリスクのある技法であることも事実です。費用の面で考えると、新しい樹木を植える方がお安く済む場合がほとんどです。まずは、信頼できる造園会社に見積もりの依頼からお勧めします

 いかがでしたでしょうか。鉢植えなどとは異なり、「長い年月を共にしてきた」という価値を樹木に感じられる方もいらっしゃるかと思いますし、そのために移植を検討されることもあるかもしれません。そう言った場合は、まずは専門家にご相談をお勧めします。弊社でもご相談からお見積りを承りますので、ご検討でお困りの際はぜひ、お役立ていただければと思います。