沖縄のとある離島。
シュノーケリングで海にもぐれば、
そこは珊瑚(サンゴ)の世界。
これは枝サンゴ。
これはテーブルサンゴ。
ところで・・・
サンゴって植物? 動物? その他?
↓
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サンゴ(珊瑚)。
刺胞(しほう)動物門、花虫綱(かちゅうこう)に属する動物のうち、固い骨格を発達させたもの。
イソギンチャクも同じ仲間になる。
つまり、動物。
* * *
ところ変わって、ここは南アルプスの天然水、
が湧き出る、南アルプスの天然林です。
深い森にもぐっていくと・・・
おや? いったいこれは何?
先ほどのお仲間です。
枝サンゴに似てなくもない。
さしずめこれは「森のテーブルサンゴ」か。
海のサンゴの群落。
サンゴの根と呼ばれている。
森のサンゴの群落。
森のサンゴは根を持っていない。
海のサンゴ。
白化しかけている。
海水温が少し高いのか・・・
森のサンゴ。
白っぽいのは元々の色。
海と森、交互に見てくると、
2つのイメージがかさなり合ってきます・・・
* * *
さて、街にもどってきました。
よく見ると、ここにもあります。
ケヤキに生えた「森のテーブルサンゴ」。
近くのケヤキには、黄色と水色のコラボ。
何サンゴに似ているでしょうか?
サクラに生えた「森のテーブルサンゴ」の赤ちゃん。
赤ちゃんでも、このコインサイズで10歳。
手のひらサイズなら50歳です。
1年に数ミリ、かなりゆっくり成長します。
超スローライフな生物。
では、この生物はいったい何者でしょうか?
㋐動物 ㋑植物 ㋒その他( )
1)
地衣類(ちいるい)。
菌類のうち、葉緑体を持つ藻類(そうるい)を共生させることで自活できるようになったもの。
菌類は動物でも植物でもないので、答えは㋒。
「森のサンゴ」は、いわば「光合成するキノコ」なのです。
だいだい色の地衣類。
たくさんのヒラヒラは、ぜーんぶキノコです。
2)
オオチャワンタケ(大茶碗茸)。
子嚢(しのう)菌類チャワンタケ科に属するキノコ。
広葉樹に発生することが多い。
さっきのヒラヒラ、こいつに似ているかなぁ?
そら色の地衣類。
このつぶつぶ、ぜーんぶキノコです。
㊧1) ㊨㊦3) ㊨㊤㊨4) ㊨㊤㊧㊦5) ㊨㊤㊧㊤6)
菌類(キノコの菌糸)をベースにして、中に藻類(ボルボックス、ミカヅキモ、クンショウモ等の仲間)を住まわせています。
菌類は陸上にいたが、光合成はできなかった。
藻類は光合成はできたが、水中生活なので陸上に進出できなかった。
そこで・・・
となって、お互いウィンウィン。
ここは極寒の北極圏。
菌類と藻類が組み合わさると、
こんな岩の上でも地衣類は生息できる。
水と日光がありさえすれば、都会のコンクリートの上だって、どこだって地衣類は生息できる。
汚れすぎた空気は苦手だけれど・・・
* * *
それではエンディングといきましょう。
サンゴは海中でエサを食べていたが、光合成できなかった。
藻類は光合成できたが、安定した住み家と養分がなかった。
そこで・・・
となって、お互いウィンウィン。
サンゴの成長は早くなり、日光のとどく浅い海で、サンゴ礁を形成するのです。
菌類は陸上にいたが、光合成できなかった。
樹木は光合成できたが、陸上の水や養分が足りなかった。
そこで・・・
となって、お互いウィンウィン。
樹木の成長は早くなり、樹冠で日光を独占し、森林を形成するのです。
まとめると、
①「 サンゴ(動物)ーーー 藻類 」
②「 地衣類 (菌類)ーーー 藻類 」
この2つは、共生のしかたがまったく同じ。
②「 地衣類 (菌類)ーーー 藻類 」
③「 菌根菌 (菌類)ーーー 樹木(植物)」
この2つも、裏返し(内側か外側か)になっているだけで、やはり、共生していることに変わりはない。
つまり、
「 動物ーーー藻類ーーー菌類ーーー植物 」
これらはみんなつながっている!
ひょっとして、
「地球は一面、海のサンゴ、森のサンゴにおおわれている」
のではないのだろうか?
ふと、そんなふうに思えてくるのです。
(おしまい)
【出典】
3)山のキノコ