信州、カヤの平、秋のブナ林。
懐かしい、私の好きなところ。
おばあちゃんの田舎からすぐのところ。
山が燃える♪ってこういうことなのか・・・
でも、なんで紅葉(黄葉)って起こるんだろう?
夏、葉の緑色は、クロロフィルの色。
クロロフィル、ぐりーんふぇる♪
1)
緑の色素、クロロフィルは光合成をして、
二酸化炭素と水から、糖と酸素をつくる。
黄葉の黄色い色はカロテンの色。
カロテン、きいろてん♪
カロテンは黄色い色素で、ネーミングは
ニンジンのキャロットから来ている。
クロロフィルの仕事を助けている。
カロテンは夏にも葉にあるのだけれど、
クロロフィルの緑色にかくされていてみえない。
秋、気温が下がり、日照時間が短くなると、
葉への栄養補給が止まる。
すると、クロロフィルが分解されて緑色が消え、
かくれていたカロテンの黄色があらわれてくる。
これが黄葉(おうよう)とよばれる。
ブナの黄葉を眺めながら、
ここでしばし休憩にしましょう。
* * *
ここはカエデの森、場所は秘密。
遠くからでも目に鮮やかな赤色・・・
2)
カエデの紅葉は、青空とのコントラストが美しい。
黄葉は先ほど説明したので、次は紅葉の番。
紅葉の赤い色は、アントシアニンの色。
アントシアニン、あかくしあにん♪
3)
アントシアニンは色々な野菜や果物に
含まれる、赤~紫色の色素。
4)
アントシアニンは青紫の花の意味。
アントは花、シアニンは青紫色。
もとはヤグルマギクの青紫の色素を表していた。
水にとけ、酸性度が強まると紫から赤になる。
アントシアニンは光の害から葉を守っている。
夏、アントシアニンは、葉にまだ存在していない。
秋、クロロフィルが分解されると・・・
葉に含まれる糖とタンパク質から、
アントシアニンがつくられる。
カエデ等は糖が多量にできるので、赤色が強くなる。
これが紅葉(こうよう)とよばれる。
クロロフィル→カロテン→アントシアニン
のグラデーション。色の変化が美しい・・・
カロテンはどの葉にも含まれるが、
アントシアニンは葉の糖度の数値が
かなり高くないとつくられない。
だから、カロテンの黄色はどの葉でも
見られるが、アントシアニンの赤色は
見られる葉が限られる・・・
つまり、黄葉より紅葉のほうが
出現率が低くなるわけです。
黄葉のなかに、紅葉のモザイク。
紅葉がいっそう際立ちます。
* * *
ここまでで、紅葉のメカニズムはわかった
としても、紅葉する意味がわからない・・・
なんで紅葉することになったんだろう?
しないほうが何かとラクなのに・・・
それを探ってみましょう。
えっ? 虫ですか?
アブラムシ。
カメムシ目、アブラムシ上科の昆虫。
吸汁性害虫。アリマキともいわれる。
「紅葉が鮮やかな葉ほど、アブラムシが取り
つきにくい」という調査結果があります。
それなら、アントシアニンやカロテンには、
防虫・殺虫効果があるのでしょうか?
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実は、ないのです。
では、なんでアブラムシは紅葉する葉を
避けるのでしょう?
科学者の考えはこうです。
「十分なアントシアニンやカロテンを合成できる自分は、
耐性が強いのだから、取りついても成功できないぞ」
と、紅葉する植物は色でアブラムシに誇示している、
というのです。
一見、目立って不利なように見えて、実は、被害を減らす有効な方法をとっているのです。
この方法のことを、「ハンディキャップ効果」といいます。
* * *
5)
おばあちゃんの田舎、北信州、飯山。
映画「阿弥陀堂だより」のロケ地でもある。
5)
ひっそりと立つ、阿弥陀堂。
心が、すーっと、ほどけていく。
5)
裏手から、向かいの山を望む。
紅葉(黄葉)が青空に映える。
ある秋の日、おばあちゃんも、燃えるあの山を眺めていたのだろうか・・・
ーおしまいー
【出典リスト】