みなさん、こんにちは。
「庭のお悩み相談」は、普段、お客様の御宅で剪定など定期管理にあっている職人が、庭や庭木に関するお悩みに答えたり、職人ならではの庭の楽しみ方をお伝えしていきます。
今回の担当は小嶋さんと石黒さんです。
テーマは、植栽について。植える際の適切な深さ(浅さ)を、教えてもらいます。
―今回のテーマは、「深植え(ふかうえ)」「浅植え(あさうえ)」です。植える深さは意外と考えないというか、分かっていないテーマかもしれません。特に少し背丈のある植物や樹だと安定感が気になって、深く植える気がします。「植わっていればよいのでは?」と考える部分もあります。
(石黒)
たしかに、深く植えれば倒れにくくなると思いますが、根っこに対して必要な酸素が足りなくなってしまい、枯れてしまう原因になります。
―必要な酸素、ですか。そう言われると、根の役割=地表に出ている部分を支えること、っていうイメージが自分の中では強いのかもしれません。確かに、根から水を吸い上げますね。根の役割の一つは吸収、ということでしょうか。
(小嶋)
深植えをすると土が多すぎてしまい、根からの呼吸がしづらくなって酸素が足りなくなります。根の成長が阻害され、十分に育たたなくなってしまいます。
―地表に出ている茎や葉は変化を目にすることができ、「育ってきた」と分かります。根も茎や葉と同じように、私たちの見えない所で成長しますね。成長のためには酸素が必要で、根は土の中から酸素を吸収していたんですね。
どれくらいの深さがちょうど良いでしょうか。
(石黒)
根鉢の面(つら)より高く土が盛られてしまっていると、深植えになっています。
理想は地面の平面と根鉢の面が揃うくらいか、数センチ黒土が覆うくらいです。(小嶋)
5~10センチくらいまでなら大丈夫、10センチを超えると深植えになるイメージでしたが、先日、社長に植栽を確認してもらったところ「深植えになっているよ」とアドバイスがありました。
―樹種によって違いがあるのかもしれませんし、塩梅が難しいですね。知らずに間違ってしまうのが深植えですね。
一方で、「浅植え」は、植えた状態が浅すぎることだと思いますが、植物にとって何が悪いのでしょうか。土が多すぎて呼吸ができず酸素を取り込めないことは無さそうですが。
(小嶋)
浅すぎると、根っこが地表に露出していまい、そこから乾燥します。乾燥によるダメージで樹を枯らせてしまうんです。
―地面から出て見えてしまっている根は目にすることが多いです。うちの紫陽花も昨年枯れてダメになってしまいました。虫にやられてしまったと思っていましたが、浅植えだったのかもしれません。以前はそれほどでも無かったのですが、最後の年は根がかなり表面に出てしまっていました。
(石黒)
水をあげているうちに浅植えになってしまったり、斜面に植えられていて雨で土が流れてしまい、浅植えや深植えになってしまうことは結構あります。黒土を撒いて対応することもできますが、乾燥させない方がいいですね。
―気づいたら浅植えになっていることは自分の例を見ても、よくあることだと思いました。根=支える、という役割よりも、呼吸の点や植物の内側の機能に目を向ける必要がありそうですね。
(小嶋)
乾燥に強いタイプもありますが、根は基本、見えない方がいいです。浅植えは目に見えて分かるので現場ではあまり見ることがありませんし、話しも聴きませんが、深植えよりも浅植えの方が枯れる早さは速いかもしれません。(石黒)
徐々に葉から枯れて行ってしまいます。特に夏場では早く枯れてしまうかもしれません。
―浅植え、深植えと、ちょうど良い深さで植える大切さを知りました。どうしたら、適切な深さで植えることができるでしょうか。
(石黒)
自分はスコップを根鉢に当てて、スコップを目安に土を掘ります。その深さと広さで植えるのがちょうど良く、分かりやすいと思います。他には、根鉢よりも少し広く掘るやり方もあります。深く植えないと安定しないと心配もあるかもしれませんが、そういう時は支柱を立てて根がつくまで待ちます。(小嶋)
水極め(みずぎめ)といって、水鉢を作り水をやりながら植栽する方法もあります。植え込みの途中に木を揺らしたり、根鉢を突き棒で突くと、根から空気が出て、根と土の密着が良くなります。
―土から栄養を吸い上げ呼吸をして酸素を取り込む根の役割を考えると、背の高い木は特に、専門の職人さんの力を借りた方が良さそうですね。
(小嶋)
背の高い樹は、植えるスペースも十分に確保が必要です。周りがコンクリートでなければ、狭いスペースであっても問題ないかもしれませんが、30センチのスペースに植えられるのは、1.5メートルくらいの高さが無理がないと思います。
今回は、植栽の深さについて小嶋さんと石黒さんにお聞きしました。
日常では表に出て来ず目に見えないため、根=支える役割、と捉えがちでしたが、根は呼吸し酸素を取り込む点で、地表の葉や茎、幹と同じように生きています。適切な植え方をして元気に育つように心がけたいですね。