みなさん、こんにちは
11月に入り、朝晩だけでなく、寒さを昼間も感じるようになって来ました。
四季折々の自然の姿は、日本の美しい情景の一つです。身近なところや外出先で、自然の姿はわたし達に季節を感じさせてくれます。

―今月の「庭師の現場から」は、大木さんです。
入社から一月半が過ぎましたが、「まだ入って一月ですから、、、」と、語る言葉の端々に控えめな人柄がにじみ出る大木さん。40歳で、和食の料理人から造園業界に転職しました。

(大木)

これまでは、ずっと飲食業界に居ました。包丁を握る料理人です。屋内での仕事でしたので、外での仕事に興味がありました。以前から造園に興味があり、自然の中で仕事ができることや、将来に魅力を感じて、転職しました。

-入社して一月が経ちました、慣れてきた頃でしょうか。

(大木)

新しいことは楽しいですね。ずっと同じことをこれまで続けてきましたから。この歳になると、新しいことを経験すること自体が、あまり無くなって来ますから、新しいことを身につけることができるのは楽しいです。

今日の現場では掃除の担当で、先輩が刈った草を掃除してまとめる役割でしたが、練習で一部分を機械を使って刈らせてもうら機会もありました。草を刈る経験も今まで無かったですし新鮮な経験でした。きれいに仕上げるには奥深い世界で難しいことなのだと思いますが、自分は今は機械を使って作業をするのが楽しいなと思います。

―「こういう仕事をするのだろうな」と想像していても、実際に就いてみると新しいことばかりだと思います。新しいことを楽しめるのは大事なことですよね。楽しいと思うことができないと、覚えたり技術を身につけるのも苦痛になってしまうと思います。

(大木)

竹内庭苑での造園の仕事は楽しいですね。いつも新しい経験をさせてもらえるので飽きがありませんし、体力や筋力もついてきました。海岸での砂防柵設置の現場の日もあります。砂浜で重い柵を扱うので筋肉がつきます。

西に富士山を望む茅ヶ崎の海岸にて

ー砂防柵の現場を大木さんも担当されているのですね。詳しく教えてください。

(大木)
砂防柵はサイクリングロードに沿って設置する竹でできた柵です。何も無いと、砂浜の砂は風で飛ばされ、サイクリングロードを塞ぐほどに積もってしまいます。以前は通れなくなるほどでした。砂防柵を設置して、サイクリングロードに砂が積もってしまうのを防いでいます。


竹内庭苑に入社する前から砂防柵は知っていましたし、サイクリングロードの砂の被害は知っていました。入社して現場を担当したとき、「まさか、自分がこれをつくるのか」と驚きました。加えて、「こんなに作るの大変なんだ」と驚きました。

―結構しっかりと施工されていますよね。どのように設置していくのでしょうか。

(大木)

(「まだ入って1ヶ月なので、間違っているところもあるかもしれませんが、、、、」と恐縮しながら注釈しつつ)

最初は砂浜の整地です、安藤さんがユンボで砂を平らにされました。
次に柱を立てるための溝を掘り、等間隔に柱を水平に植えて行きます。「水平器」という水平をとる機械を使います。
柱を植えたら、柱と柱の間に、胴縁(どうぶち)を金槌でつけていきます。胴縁は、柱同士の間を横に渡す部分です。
胴縁をつけたら、柱と胴縁に、広げた竹簾(たけず)をつけていきます。
仮止めした後、番線という鉄の線で竹簾を固定していきます。

一つひとつ手作業で固定していくので細かい作業です。

竹簾がついたら、押縁(おしぶち)を柱と柱の間に渡して、竹簾を上から止めて行きます。

―体も使った大掛かりな作業でありながら、番線を結ぶ時など手先を細かく使うため、これは結構な作業ですね。
柱を等間隔に水平に植えて行きます。完成間近の砂防柵の様子は古賀さんの記事(2023年10月公開)の写真にも掲載があります。

(大木)
距離も長いです。
自分が聴いた話では1㎞以上作っているそうです。数日がかりで行う作業ですね。
今日は柱を建てる日、今日は竹簾を張る日、今日は番線で固定する日、という塩梅です。結構な距離だと思います。
造園業は、こういうこともするんだ、と最初は思いましたが、いい経験だなと思っています。

砂防柵は劣化してしまうので数年で作り変える必要があるのですが、海に来られた方にも、大事にしていただきたいなと思います。

―1区間を完成させるにも、なかなか慣れないと難しいかもしれませんね。砂防柵の設置も担当するのは驚いたけれど、他に、造園のイメージと違うと感じたことや、料理人の仕事と似ているところはありますか。

(大木)

砂防柵の設置の手順など、ここでは、みなさん親切に教えてくださることが、造園業に抱いていた印象と違いました。
料理人の時もそうでしたが、職人の世界は「見て覚えろ」というような風潮があります。ですが、ここではみなさん、丁寧に教えてくれる。意外でしたが、本当に助かるし有難いです。教え方も上手だなぁと思います。

ハサミの研ぎ方も包丁の研ぎ方を同じで、道具を大事にしているところは料理の世界と同じだなと思います。

自分の想像ですが、造園以外の他の仕事の経験もある方だと、自分のような素人の人が分からないことが分かっているから、こういう事をこういう風に教えてあげた方が分かりやすいと思っているのかなと。

面接前にホームページを見て雰囲気が良さそうだなと思ったことや、職人さんが見えるのは良いなと思って竹内庭苑を希望したましたが、思ったよりも若い先輩が多く、居心地もいいです。

―職人の方が大事にすることは業種が違っても共通しているのかもしれませんね。
始まったばかりですが、これからの目標を教えてください

(大木)

会社に迷惑をかけないように、お客さんに喜んでもらえるように、一生懸命にやるだけです。
造園の資格やユンボの資格など、資格取得にも挑戦して、自分も現場を任されるように成長したいです。
今日も、伐採の現場に関わりました。チェーンソーで先輩が伐採した太い幹を、地上で皆で引っ張る作業もあり、迫力も満点でした。
できることはどんどんやって、色々な経験を重ねて行きたいと思います。

砂防柵は砂防林と並び、海のまちには大切なもの。それらの設置や管理を任される地元の造園業の役割は重要です。大木さんのこれからの活躍が楽しみです。