地層がつくる縞模様か?
熱々のピザか?
いいえ、サルノコシカケです。
これもサルノコシカケ。
これもサルノコシカケ。
で、サルノコシカケって何?
サルノコシカケ(猿の腰掛け)は、
木質で棚形をしたキノコの総称。
猿が腰を掛けられるくらい、かたくしっかりしている。
ハンマーでないとたたき落とせない。
01)
サルノコシカケに猿が腰かけている、とても貴重なショット。
㊧02) ㊨03)
かたくて、にがくて、とても食べれたものではないが、
サルノコシカケには、煎じ薬にして飲まれるものがある。
㊧マンネンタケ(万年茸、霊芝)、㊨カワラタケ(瓦茸)、など。
抗がん作用があるといわれている・・・。
ここは、とある公園。
おや? ケヤキに何か生えています。
近づいて見てみましょう。
コフキサルノコシカケ(粉吹猿腰掛、担子菌類・マンネンタケ科)。
サルノコシカケの一種、木材腐朽菌。
幹や枝の傷口から胞子が侵入し、幹の中を腐らせます。
何年かすれば、内部が空洞になり倒れる可能性がでてきます。
コフキサルノコシカケは多年生で、毎年大きくなっていきます。
まわりを茶色くしているのは胞子。茶色の「粉を吹く」から、
コフキ・サルノコシカケといわれます。
とある街の、ケヤキの街路樹。
ここにもコフキサルノコシカケがみられます。
では、ここで問題。
ケヤキに生えてきたコフキサルノコシカケを、まだ小さいうちに取り除けば、その木は腐らずに助かるでしょうか?
㋐助かる
㋑助からない
↓
答
↓
え
↓
残念ながら助かりません。
「サルノコシカケが幹に生えた」ということは、キノコ(子実体)は菌糸からつくられますから、幹の中は菌糸だらけということになります。
キノコから菌糸が生えるのではなく、菌糸からキノコが生えるのです。
もっと言うと、菌糸は木の中を食べつくしそうなので、この木から自分の子孫を脱出させるために、キノコを作って胞子を飛ばそうとしている、のです。
つまり、サルノコシカケを見たら、その木の中は腐ってスカスカになっているということです。
先ほどのケヤキは、折れたからなのか、安全のためなのか、上が切られています。もうすぐ下も切られるでしょう・・・。
所変わって、自宅付近の公園。
サルノコシカケの一種、ベッコウタケ。
台風で木が倒れるとき、これに罹っていることが多いという。
ベッコウタケ(べっ甲茸、担子菌類・タマチョレイタケ科)。
木材腐朽菌。地際部や根の傷から菌糸が侵入して、中を腐らせます。
子実体は一年生で、毎年新しく発生します。白っぽく乾燥しているのは昨年のもの。
下から写したベッコウタケ。
この木はサクラで、まだ咲いているのに切り倒されました。
根や幹の中をベッコウタケにやられていたんですね。
何とか延命できなかったものだろうか・・・。
* * *
さて、そろそろオチといきましょう。
04)
ん? キノコの上にキノコ。
これって、親子? 兄弟? それとも他人?
05)
他人です。
下の黒いキノコは、クロハツ(黒初、担子菌類・ベニタケ科)、
上の白いキノコは、ヤグラタケ(櫓茸、担子菌類・シメジ科)です。
06)
これはヤグラタケがクロハツをとかして食べているところなのです。
キノコを食べるキノコがある・・・う~ん、これは使えるのでは?
07)
ボタンタケ(釦茸)、別名トリコデルマ。
子嚢菌類・ボタンタケ科、キノコに寄生するキノコ。
07)
トリコデルマの菌糸は緑色をしている。
これがサルノコシカケをとかして食べるのだ。
08)
ここは東北のとある県庁所在地。
サルノコシカケの一種、カワラタケに罹ったサクラ。
トルコデルマを吹きかける前㊧と吹きかけた1年後㊨。
サルノコシカケはとけて見えなくなっている。
09)
サクラは倒伐されずに何とか延命できている。
よかった、よかった。
サルノコシカケの多くは、樹木を腐らせ、風倒・風折れの原因となる害菌。
トリコデルマも、シイタケ栽培でシイタケ(木材腐朽菌)を食べる害菌で困りものだった・・・これを逆手に使ったのです。
いわゆる「毒を以て毒を制す」
トリコデルマは「微生物農薬」として登録されている。
ーおしまいー
※最近の研究で、コフキサルノコシカケと思われていたほとんどがオオミノコフキタケだと判明しました。コフキサルノコシカケは標高の高い所、オオミノコフキタケは平地に生えていたのです。
【出典】
02)Wikipedia霊芝
05)キノコの写真・解説
06)きのこらぼ
08)野菜通信
09)Wikipedia石割桜