みなさん、こんにちは
茅ヶ崎市も梅雨入りしました。災害は心配ですが、庭木にとっては恵みの雨となることもあります。
―今月の「庭師の現場から」は、草野さんです。
今年の9月で入社1年となる草野さんは、前職は調理場で働く料理人でした。子どもの頃に田舎で山の伐採を手伝い育ったこともあり、第二の人生を考えた時に自然に携わる仕事を思いついたそうです。
(草野)
最初の現場は一年前の8月半ば、お盆明けの時期でした。公共工事で河川の草刈の現場でした。めちゃめちゃ暑い時期でしたが、外で仕事をするのは気もちよかったです。嫌だな、とかはありませんでした。
-今日も河川沿いの草刈を担当されていますが、公共工事でもある河川の草刈を行う現場での草野さんの役割は具体的にはどのような感じでしょうか。
(草野)
公共工事は書類の提出が必要で、写真が証明になります。作業前、作業中、作業後の計3回、同じ場所を、黒板を掲示しつつ同じ方向から写真に収めなければなりません(写真は、実際に草野さんが撮影した作業前のものです)。
作業進行中は、黒板をその場には置いておけないので、「ここで後で写真を撮ろう」と自分で目印をして外します。
他の職人と一緒に草刈りを進めながら、自分は途中で写真も撮るので、写真のタイミングを考えながら作業をします。
河川沿いの長い距離の草を刈る場合は、一枚の写真に全体が入りませんし、河川も真っすぐでは無いので、曲がった所から先を同じように、別に写真を撮らなければなりません。
―最初に、写真に残す場所の目安をつけることや段取りをしておくことがとても大切になりそうですね。草刈りが始まってしまうと、途中でスマートフォンを取り出して写真を撮る作業は、草刈りに集中すると忘れてしまうこともあるかもしれません。
(草野)
他の職人も草を刈っています。「曲がったところから次の写真を撮ろう」と予定をしていても、他の職人が担当する草刈りの方が先に進んでしまうと、作業前の写真を撮れません。それらを考えながら段取りをして予定を組みながらやらなければいけません、要領が大事です。
自分の段取りが悪いと全て自分に返ってきます。走って写真を撮りに行かねばならないし、走って戻って作業をしなければならいないので結構焦ります。ゴミを回収するのに車をどこに止めるか、など、スムーズに仕事が運ぶように段取りが必要で、松本さんやみなさんに聴いて、アドバイスをもらいながらやっています。
―調理場の料理人も、「職人」という点では近い部分があるのかもしれませんが、その辺りはいかがですか。
(草野)
調理場の中と似ているところはありますね。「数をこなしていかないと、できるようにはならないのだなぁ」と身に染みて分かっているので、準備や事前にできることはやろうと思っています。
今は自分の引き出しをつくっている最中なので、他の職人の話しを聴いたり、現場が終わって置場に帰って来た後の皆の雑談に混ざったりしてから帰る、みたいなことを心掛けています。雑談の中にも仕事の話しがあるから。「そういうのも、あるんだな」と。
今の自分にはできなくても、聴いておけば多少なりとも理解できたり後からイメージがつくので、早く帰ることができても極力残って、「ここの現場は、どうだった」という話しを聞きながら覚えることを心掛けています。
覚えることがたくさんあって、まだ10分の1も覚えられていませんが、色々吸収したいです。
-調理場での仕事と河川の草刈りの仕事に限らず造園の仕事、違うところもたくさんあると思いますが、いかがでしょうか。
(草野)
調理場では、音で後ろの人が今なにを切っているか判断できましたし、気遣う範囲がそんなに広くなく限られました。造園は作業の現場で他の職人と距離が離れていることも多いので、違った気遣いをしなければなりません。
伐採の現場ならば、上で枝を落とす作業が始まったら、下にいる自分はちょっと離れたり。伐っている音がしたら、ちょっと離れる。少ない人数で広い範囲を担当することもあるので、音を聴いたり、全体の流れをつかみながら自分だけの作業に集中しないで、周りをみながらやっていきます。もともと飲食でやって身についていたものは生きていると思います。
―今までで印象深い仕事というと、どんな現場でしたか。
(草野)
いろいろ勉強させてもらっています。土間を作ったり、安藤さんに教えてもらいながら竹の生垣を作ったりもしました。
特に印象深かったのは134号線の中央分離帯の低木の草刈をやらせてもらったことです。箱根駅伝で走るところです。テレビ中継で映った時は、キレイになってよかった、と思いました。
この仕事は、ずっとでは無いけれど、目に見えて結果に残ります。車で現場に向かう途中、以前に携わった現場を見てきれいだったときは、うれしいと思います。
ー料理人から庭師へ、ご自身が目指す姿をおしえてください
(草野)
「きれいに仕事する」ことを大切にしたいです。
及川さんに「きれいに仕事するよね」と、褒めていただきました。道具をバラバラに置かない、とか、ブルーシートを畳んで置いたりとか、そういうことですが。道具をキレイにしておけば、次の作業にも直ぐにうつることができます。
「見られている」意識をもちながら仕事をする、というのも大切にしたいです。料理人の時はカウンターにいても奥の調理場にいても、お客さんに「見られている」っていう意識を持ちながら仕事をしてきました。
「見られている」意識をもちながら「きれいに仕事をする」ことが、ちゃんとした仕事につながると思います。自分ができることは全部やる、自分ができるように日々頑張ります。