茅ヶ崎海岸の砂防林の中にある遊歩道で清掃活動を行った後

みなさん、こんにちは
11月に入ると一年の終わりを感じながら、翌年以降の準備にも取り掛かる頃でしょうか。今があるのはこれまでの積み重ねの結果ですし、これからをつくるのも今の活動です。
今月と来月は、造園業の未来と竹内庭苑としての取組みについて、竹内社長のインタビューを2回に分けてお届けします。

―竹内庭苑として創業から10年以上が経ち、竹内社長が造園業界で仕事を始められてから20年以上が経過していると思います。この間、人々と庭の関係の変化や、暮らしと自然の関係の移り変わりなど、社長はどのようにご覧になっていますか

(竹内)

 狭い国土の日本では、元から、小さいところでいかに自然美をつくりあげるか、という視点のもと造園の技術や文化が発展してきた背景があります。その時々の時代背景に合った進化を遂げてきたことが特徴です。この特徴は現在も変わっていません。   

 一軒家の御宅が減り、マンションなどの集合住宅で暮らす人が増えて来ました。それに伴い、庭の様式も「個で楽しむ」ものから大衆的に変化していると思います。

-確かに持ち家志向の低下や単身世帯の増加などにより、戸建て住宅の数はここ20年ほどで大きく減少していますね。

(竹内)
 自分の庭を所有して楽しんできた日常から、マンションやビル、デパートの一角や公園など、広いスペースの緑を生活の一部として楽しむようになってきました。家に庭が無くても、緑や自然を楽しみたいと感じる人は多くいます。

 そう考えると、これからは、個人として庭を楽しむ事ももちろん残ると思いますが、一方で、都市開発の一要素としての自然の活用の仕方や、都市デザインの一部としての緑の取り入れ方などが新たな需要として生まれて来ると思います。個=ミクロの世界から発展してきた造園も、ランドスケープ=マクロの世界へのシフトが必要になると思います。

 わたし達造園会社としても、従来のような剪定その他の技術力にとどまらず、都市景観を美しくデザインする力やそのための知識が必要になってくると思います。

 ―時代背景や社会の価値観や文化とともに発展してきた造園、という原点に立ち返っても、これからの時代に合わせて変化するのは自然な流れと感じます。

(竹内)
 誰もが自分の目に映るものは美しくあってほしいと思うと思います。新しい街路樹の在り方や都市景観の在り方は、これからとても大切になってくると思います。

 茅ヶ崎で言えば、花はあの辺りがキレイだね、とか、川沿いの景色がイイねとか。茅ヶ崎の海岸には砂防林もありますし、公園も多くあります。茅ヶ崎に暮らす人たちが「茅ヶ崎の自然が好き」と感じられることや、自分達のまちを自分で守りキレイにする、といった価値観も大切になってくると思います。

砂防林の中には、画材にもなる松ぼっくりがたくさん

ー観光地はランドスケープ(景観)という切り口で自然が上手にデザインされている所もありますが、生活の場である町全体も「景観」という視点が大切になるということですね

(竹内)

 有名な場所だからランドスケープを考える、というのでは無くなると思います。災害の多い日本では、防災の観点から新たなまちづくりに取り組むことも必要です。

 タイミングを見ても今後は、老朽化が進んだ様々な物を作り替える時期がやってきます。古くなった従来の物を良くするのではなく、新たに作りかえていくという視点も大切ではないでしょうか。

―作り替えるのであれば、全体の景観として多くの人が緑を楽しめるように新しくデザインもできますね。これまで個人の庭やマンションの街路など、家の一部としての自然美を作って来た日本の造園も、都市景観や都市デザインという新たな需要に対してどのように応えていくかが鍵になります。