みなさん、こんにちは
2月4日の立春を過ぎ、暦のうえでは春に向かいますが、10年に一度とも言われる大寒波もやって来るなど、底冷えの寒さも際立つ今年の2月です。

竹内庭苑で働く庭師紹介、第4回目の今月は、2月に竹内庭苑入社3年目となった、及川さんです。


-入社歴が近い名木さん(お仕事話し1月に登場)が冗談めいた口調で「及川さんには負けられない(笑)」と仰っていました(笑)。それもそのはず、及川さんは60代、私たちよりも20以上歳上なんですね。新しい仕事にチャレンジされている点は、私たちにも大変刺激になります。

(及川)
竹内庭苑の年齢を一人で押し上げていますが。。。
新卒から30年以上、旅行業界で仕事をしていました。営業も担当しましたし、添乗員もしました。ツアーコンダクターですね。旅行の企画を作ったり、総務部門も担当しました。外国人旅行者が増えてきた頃からインバウンド担当にもなり、アジアを始め世界中の国の方を担当していましたが、ご存じの通り、コロナ禍が始まり旅行業界は難しくなりました。

-今でこそ国内旅行は盛り返し、外国人観光客も迎えられるようになりましたが、2020年当時は大変でしたね。そんな中、なぜ、造園業に関わろうと思われたのでしょうか。

(及川)
旅行業界の厳しさから、将来を考えるようになって思い立ったのが造園屋さんでした。実家には小さいですが庭があり、父も生きていた頃は庭造りをしていました。母も歳をとってきたので自分が砂利を敷いたり植木を植えて手入れをしていたことも、決め手になりました。県内の他の造園屋さんでのアルバイトから始め、正社員の立場を求めていたところ竹内庭苑に出会いました。
面接での自分の最初の言葉は「歳なんですけど。。。」でしたが、竹内社長には「アルバイトからやってみますか?」と声をかけていただき、今は正社員として勤めるようになりました。

-造園の仕事は確かに体を使う仕事ですが、年齢や経験を重ねている人だからこそできることもあると思います。実際に竹内庭苑で働き始めて、いかがでしたか。

(及川)
造園「土木」というだけあって、色々な仕事があると思いました。木だけではなく、インターロッキングなども扱いますし、個人庭やマンションでの作業もあります。今日は、公園の工事を担当しました。輪をかけて驚いたのは、自分が営業も担当するようになったことです。「営業なんてしないだろう」と思っていたので。

―庭のある御宅を一軒一軒、尋ねて回ると聴きましたが、「(植木屋さんは)決まった所にお願いしている」という御宅も多いと思いますし、「10年で一人前」とも言われる専門的な造園職人の世界で、3年目の及川さんが営業をするのに、難しいことはありませんか。

(及川)
竹内庭苑に決まって本格的に造園を職業とすると決めたとき、最初の1年目は、とっても勉強していました。木の種類や特性を覚えないと、お客さんと話すことができません。「この木は何ですか?」と聴かれても答えられないのは困りますので。添削課題のある6カ月の通信講座を申し込んで修了しましたし、庭木の本もたくさん読みました。YouTubeを見て動画で勉強することもありました。暇があったら勉強していました。

―集中的に習得した庭木についての正確な知識が今の土台になっているのですね。

(及川)
お話しを実際に伺うと、前の植木屋さんが高齢で辞めてしまい困っている御宅や、手入れをしないまま伸びて時間が経ってしまった御宅もあります。お話しを聴きながら、得た知識を活用して「ここは、こういう風になります」とか「この枝を、こうしてこうして形を整えるときれいになりますよ」とお伝えしていきます。枯れている木のアドバイスもできます。

―「話す植木屋さん」は、珍しいと思います。前職の旅行会社での経験も、大いに役立っているのですね。

(及川)
剪定刈り込みなどの実際の作業は、高い造園技術を持った職人が主に担当します。自分も現場に入る時は、地上から全体の様子やバランスを確認し、木の上の担当者をフォローしています。
経験のある職人だけでなく若い職人が剪定を担当しても「来年もお願いします」とお任せいただき、自分の訪問をキッカケに、2年目3年目と翌年以降も竹内庭苑に任せていただけるのはうれしいことです。「竹内庭苑」というものを信頼していただいていると思うのです。

-「話しを聴く人」「説明する人」「作業をする人」「全体を見る人」というように、チーム内での役割分担が、一連の流れを通して施主様の要望を叶えることに繋がっています。

(及川)
 幼稚園の桜とケヤキの伐採を竹内庭苑で担当させていただきました。
車で走っていた時に、とても大きく伸びた木を目にして「手入れは、どうするんだろう?」と気になり、幼稚園の用務員さんに「植木屋です」と声を掛けてみたのが始まりです。園長先生も出てきてくださり、「園内には、大きなケヤキがあるんですけど、ちょっと見てもらえますか?」と言われました。
(※庭師のNi-Wa SHIGOTO vol.11&12参照のこと)

-あの、伐採の施工ですね。園内の中央に斜めに育った巨大なケヤキを伐採したのは、よく覚えています。

(及川)
園長先生の話しを聴きながら、現場を一緒に確認して、説明しました。
ケヤキは屋根に葉っぱが落ちることや建物に近すぎること、日陰にはなるけれど大きくなりすぎて倒壊の危険もあることをお伝えしました。
桜の木は、よく見ると枯れてしまっていました。木の下に山羊の小屋もあったので、枝が折れれば屋根に穴を開けるでしょうし、道路の方にも伸びていたので、折れた枝は通行の方に危ない状態であることも、話しをしながら確認していきました。

―「話しをする植木屋さん」「話しができる植木屋さん」というのは、このような場面でとても有難い存在だと感じる方はいらっしゃるのでは、と思います。
インターネットを開けばたくさんの情報が溢れています。植木に関する事柄も然りです。自分で調べることやchatのやりとりもあるのかもしれませんが、このように、互いに現場を共有している場面で、実際の会話を通してこそ、分かることや感じることがあると思います。

(及川)
これからの時代は、コミュニケーションがどんな職業でも大切になってくると思います。
造園の職人も、施主様とコミュニケ―ションをとり、提案ができるようになる必要があると思います。「これをやってください」と言われたことだけをやるのではなく、知識や情報を活かして「こういう風にしたらどうですか」「せっかくだから、ここはこうした方がいいと思います」というように、提案できる職人が求められると思います。個人庭の現場でもお茶を出してくださる施主様がいらっしゃいます、そういった場面でもコミュニケーションを大切にしたいです。

―年齢も上で、私たちよりも長く社会で働いて来られた及川さんからみて、竹内庭苑の特徴は、どんな所にあると思いますか

(及川)
社長に勧められて、二級施工管理士の資格を取得しました。公共工事を担当する際に必要な資格です。試験のための講習会の参加も、社長がお膳立てしてくれました。社員の成長やスキルアップへの社長の後押しを感じます。社長自身がとても勉強家ですし、「次の時代の造園」を考えているので、自分も自然と「新しい造園」を考えるようになり、コミュニケーションの大切さを感じています。

―国家資格も取得して、セカンドキャリアを生きる及川さんの、これからの目標をお聞かせください

(及川)
自分がこれまでご依頼いただいた施主様には、今まで100%で「本当にきれいになったわね」と言っていただき、喜んでいただいています。とっても嬉しいですし、やって良かったと思います。この気もちを大事にしたいです。
技術面で熟練することを目指して業界に入りましたが、年齢を考えると木に登ることも難しくなります。自分は、お客様や施主様との接点を大事にして、「長く安心して竹内庭苑に任せていただけること」を目指して行きたいです。
自分も結構な年齢です。社長は「幾つまででもいいよ」と言ってくれますが、自分が現在しているように、お客様と話しができることを誰かに引き継いで行きたいと思います。会話をしてコミュニケーションをとれる職人が、これからは必要になってくると思います。(おしまい)


「職人」というと寡黙な姿を想像される方もいらっしゃるかもしれません。
竹内庭苑では「(このまま)どうしようか」と手つかずになってしまっている庭木について、現場を丁寧に確認して、方法をご提案させていただきます。伸びすぎた巨木にも対応できます。どうぞご安心ください。
次回の「庭師の現場から」も、どうぞお楽しみに。