みなさん、こんにちは
東京では桜の開花が観測されました。湘南茅ヶ崎も春の暖かさを感じますし、花や樹々が芽吹く様子に季節の移り変わりを感じます。今年は春が駆け足でやって来ているそうです。

―お仕事話し5人目は、竹内庭苑入社7年目の石黒さんです。高校から新卒入社で、今年27歳。3人程のチームで対応する現場では、年齢・経験からリーダー的な役割も担当しています。初めての職に造園を選んだ理由から聴いてみました。

(石黒)
実家が農家で米や野菜を作っていたこともあり、自然に関わる仕事に就きたいと思っていました。高校の職業見学で見た造園業は「いいな」と思い、竹内庭苑に入社しました。大変なこともあるけれど、楽しく造園の仕事をしてきました。

-造園の仕事で大変なところは、剪定一つを見ても、一回一回やることが変わることだそうですが、違いはどのような部分にあるのでしょうか。

(石黒)
剪定の仕方は樹種や剪定の時期、場所によって、違います。
花芽がついている冬の剪定であれば、お客さんには軽剪定をお勧めします。
役所からは「強剪定で」と頼まれることが多いです。伸びすぎて民家の邪魔にならないように、強めの剪定を行います。

―見た目の美しさや景観美という点も、剪定の際には大切になりそうですね。

(石黒)
強剪定・軽剪定の違い以外にも、「濃く残す」「薄く残す」違いもあります。自分の好みで濃く残してしまうと、やり直しが必要なこともあります。
形を丸く残すものも、中からでは分かりにくいです。外から見ると枝がピョンと出ていることもあるので、見逃さずに微調整が必要です。とても細かい世界だと思います。

―同じ樹種でも育ち方や樹形に違いがありますから、ハサミを入れる角度や強さも全て変わって来る、ということですよね。「濃く残す」「薄く残す」といった独特な表現も、職人の世界を感じさせます。
実際に就いてみて、造園を楽しいと感じるところは、どんな点ですか。

(石黒)
上手に絵を描けたら嬉しいのと同じ感じで、自分が思い描いた様に剪定が仕上がったら嬉しいです。外から眺めて、どういう風にやったらいいかなと自分で考えて取り掛かるので、実際にきれい仕上げられると嬉しいです。

―興味をもって入った造園の世界だからこそ、思い描いたような仕事ができることは喜びですし、張り合いもあります。石黒さんにとって意外だった造園の仕事について聴いていきます。

(石黒)
 人見知りの自分は喋ることが苦手です。最初の頃は、お客さんに挨拶をして、喋ることが大変でした。職人には喋ることは必要ないと思っていたので、仕事を始めてから「どうしよう」と思いました。今は、自分の中では、以前よりは喋ることができるようになってきたと思っています。

―先月の及川さんも仰っていましたが、職人の仕事は技術があれば十分では無いのですよね。実際の現場の中で、施主様とどのようなやりとりをしていくのでしょうか。

(石黒さん)
「おはようございます、竹内庭苑の石黒です、今日はよろしくお願いします」と挨拶から始めます。その日の現場の作業範囲や内容は予め決まっていますが、「確認ですが、どんな風にご希望ですか」「ここは、〇〇な感じでよいですか」と、一つひとつ、施主様のイメージをお聴きします。作業の途中で確認することが出て来た時や、終了時も、施主様に確認をします。

-剪定刈り込みの作業も、施主様のご希望をお聴きしつつ、職人としての専門的知識を元にアドバイスを行っていくわけですね。手を動かせることだけでなく、「希望を聴きだせる」「説明ができる」ことも必要になりますね。喋るのが苦手のままでは、現場を完成させるのも難しいかもしれません。

(石黒)
土木の仕事もあるので、セメントを作ったり石を張ったりすることもあります。ゼロから庭を造るとなると、石を積んで土でまとめたり、植栽をしたりと、剪定刈り込みとは違う技術が必要です。親方が目指すようなゼロから庭造りを自分もできるようになりたいですが、上手にできるようになるのはまだ時間が必要です。

―既に植えられている樹の形を整えるのとは違い、庭を造るとなると、樹々の生育条件のような知識とは別に、植える樹々の位置関係や種類など全体的な景観美やデザイン的な視点も必要になってきますね。施主様のイメージを伺って引き出すことも必要ですね。造園職人として高めなければならない能力はたくさんありますね。

(石黒)
自分は高所が苦手なので、高所作業に慣れる必要性も感じています。
今日の現場も高所作業車に乗って、建物に貼り出ている枝を伐採する作業でした。
ある程度の恐さを残しておかないと事故につながると思いますが、高所で動きが遅いと作業全体も遅くなってしまいます。

-竹内庭苑は作業車が必要な高所の作業も行います。大きく高く成長した木の落ち葉や枯れ枝は生活に支障を及ぼすだけでなく危険もあります。伐採作業は必要なことですね。

(石黒)
作業車を横付けして枝を伝って木に移って作業します。作業車の運転には免許が必要なので、自分も免許を取る試験を受ける予定です。
二級施工管理士という造園の資格も必要だと思っています。資格があると「自分が、ここまでできる」という目安にもなると思います。

―資格を取得することで担当できる仕事の幅も広がりますし、品質に自信をもって作業を行えるようにもなりますね。石黒さんのこれからの目標を教えてください。

(石黒)
管理の仕事を担当できるようになりたいです。管理は、マンションや個人庭を年間通してのスケジュールを立てて手入れを行っていきます。任されるようになるには資格が必要だなと思います、勉強に苦手意識はありますが、頑張っていきたいです。

―庭木は時間の経過や気候や土壌の影響を受けて変化します。昨年の春と今年の春、春は同じでも庭木の状態は異なります。年間管理だからこそ、その時々の庭木の美しさを活かすことができます。20代の石黒さんの今後の成長が楽しみです。