みなさん、こんにちは
夏日を記録する日もあった10月が終わり、季節は11月へと進んでいます。いかがお過ごしでしょうか
今月の庭師紹介は、ベトナム出身のファンさんです。インタビュアーのために、チームを組んで現場を回ることの多い名木さんが同席してくれました。
―来日30年のファンさん、出身はベトナムです。戦争から逃れて難民として20代の頃に日本に来られました。
(ファン)
「最初は言葉が大変だったね。みんなで覚えたり、(前に勤めていた)工業の会社の社長さんと話して覚えたよ」
-最初に勤められた鉄筋工業の会社のみなさんと会話をする中や、ベトナムからの仲間とともに日本語を徐々に覚え、言葉に関しては、現在は、だいぶ楽になったそうです。
(ファン)
「(仕事は)いろいろ、やったね」
―工事現場、道路の現場、鉄筋工業の会社など、「外の仕事はいろいろやったね」と笑顔で話すファンさん。
フォークリフトの操縦もできるファンさんは建設業界のベテランです。竹内庭苑に入社は7年前、小嶋さんと同期入社でした。
入社のきっかけをファンさんに尋ねると「社長がいい人だったからね」と目を細めて答えてくれました。名木さんの冗談を借りれば「面接で会った社長にファンさんが一目惚れ」だったそうです。
(ファン)
「前の会社では、社長さんのことはよく分からなかった。ここの社長は悪い人じゃないね。『ファンさん、入ってください』と社長が言ってくれたね」
ー「みんな優しい、怒らない、楽しい」
竹内庭苑での仕事について聞くと、ファンさんは笑いながら何度も口にされました。
戦争という現実から逃れて日本で長く暮らしているファンさんが竹内庭苑で一番感じることが、社長を始めとした職人たちの、人柄の暖かさや優しさにあるのだとすれば、それは当たり前には作り出すことができない竹内庭苑の文化の一面なのではないでしょうか。
(ファン)
「名木さん、優しい、松本さん、優しいね」
職人皆のことを優しいとファンさんが仰るのは、ファンさん自身の優しさや前向きさもあると思います。
そんなファンさんは
「仕事は全部、楽しいね。なんでもやります、いろいろやります」とのこと。WEBサイトのプロフィール欄のように、モノづくりが得意なファンさんは、壊れた物も自分で直すことができるそうで、仕事が終わった後に自宅に壊れた道具を持ち帰り直すこともあるそうです。
(ファン)
「疲れたらサウナに行くね、サウナで痛いところも治ります!」
友だちや仲間の間で顔が広く、サウナに行く友達や釣りをする友達だけでなく、休みの前の夜は、時折り麻雀を楽しむこともあるそうで、仕事を離れた時間も充実しているそうです。
竹内庭苑の畑の開墾にも取り掛かっており、「草刈りまでできた」とのこと。何が育つのでしょうか。これからが楽しみです。
ファンさんの周りには、友人やお仲間がたくさんいるようです。明るく前向き、そして仕事熱心なファンさんに、みなさん惹かれるのだと思いますが、それは、ファンさん自身が親切で、困っている人を放っておけない性格だからと、名木さんが仰っていました。
そんな優しいファンさんが好きではないことが3つあるとのこと
遠い所、時間をまもらない人、怒る人、の3つです。
(ファン)
「暗くなると外は見えない、危ないね」
造園は外での仕事のため、日が暮れて夕方から夜になると、視界が見えなくなります。木の上のような高い場所、草刈り機の足下や河川沿い、どのような場所でも視界が暗い状況の作業は危険が伴います。暗い危険は、戦争を経験しているファンさんだからこそ、特に強く感じられるのかもしれません。
時間をまもらない人、というのは、外が暗く作業をするには危ないにも関わらず仕事が終わらないため、了解もなく仕事時間を延長する人を指すとのことで、
現場での作業量が想定以上に多かったために延長しなければならないような時には、「ファンさん、終わらないのだけれど、いい?」と予めお願いすれば、快く了解してくれます。
仕事熱心なファンさんは、「休憩していたら終わらない」と判断した場合は、自分から休み時間を切り上げて仕事に取り掛かることもあるそうで、数時間休みなく通しで作業にあたることもあるそうです。
真面目で仕事熱心、いつも明るく笑顔、「会社が楽しい」「仕事が楽しい」と話すムードメーカーのファンさん。「誰とでも話せるのがファンさん」とは名木さんの言葉ですが、それはファンさん自身の個性でもありますし、ファンさんの良い所を大切にする・仲間の良いところを大切にする、という竹内庭苑の特色の一つです。
(ファン)
「こわいのは蛇だけ」
と笑いながら語る理由も、ベトナムで友人を蛇に噛まれて亡くしているから。
ファンさんの意見や考えは実体験から生まれているものだと感じます。現実に向き合ってこれまで生きて来られたファンさんの言葉には重みがあり、ズシリと伝わるものがあります。
(ファン)
「雨の日の掃除は(刈った草が水を含んで)重いね」