みなさん、こんにちは
連日猛暑日の夏でしたが、9月に入ってからも日中の暑さは続いております。朝晩は乾いた空気や風を感じ、秋の気配がだんだんと本格的に漂い始めていますね。

―今月の「庭師の現場から」は、小嶋さんです。
竹内庭苑では最年少ですが、主任を務めています。高校卒業後、新卒で竹内庭苑に入社しました。

(小嶋)

進路を決める時に、農業に進むか造園に進むか迷っていました。植木屋さんを2社、見学させていただきましたが、竹内社長から「ぜひ、入って来てください」と熱いお声掛けをいただき、入社しました。「若いうちから始めると、いい職人さんになれるので、ぜひ入社してください」と言っていただいたことを、今でもとても覚えています。

造園は、たくさんのことを覚える必要がありますので、若いうちから始めると、早く身につけることができます。やったことが、そのまま経験値になっている実感があります。

-若い造園職人は業界でも数少ないのではないでしょうか。2月に茅ヶ崎市の高砂緑地で行われた市内造園業の団体による垣根の無償改修の事業に、小嶋さんは参加されていましたね。タウンニュース茅ヶ崎版に、小嶋さんのコメントが掲載されていました。造園技術の承継も目的とした事業だったそうですね。

(小嶋)
高砂緑地の橋の両サイドに作られた四ツ目垣を修理しました。垣根は実際の御宅で施工する機会は少ないですが、四ツ目垣を造ることは、二級造園技能士資格の受験時にたくさん練習しました。

――プロフィール欄に記載のように二級造園技能士の資格をお持ちですが、どのような資格試でしょうか。

(小嶋)
試験内容は2時間半の制限時間内に決められたスペースの中に庭をつくる、というものです。石を並べ、木を植え、竹垣を作ります。「職人の技術の見せ場」と聴いたことがありますし、最低限この技術は持っていないとダメと、他の会社の方にも言われたことがあります。自分は、置場に土で練習場を作っていただき、たくさん練習をしました。社長や部長にたくさん教えていただきました。技の早さ、美しさ、丁寧さが問われる試験なので、合格発表で自分の受験番号を見つけた時は本当にうれしかったです。

ー経験も必要だと思いますが、資格は技術が基準を満たしている印しにもなりますし、仕事を任せる立場の人も安心できる部分はあるのではないでしょうか。この春から主任という役割ですが、実際にどのようなことをされていますか。

(小嶋)
マンションの管理や工場の管理の現場責任者として、伐採の現場を担当しています。仕事としては、現場作業にあたるほかに、日程調整の連絡や作業報告書の作成があります。報告書には、作業前・中・後の写真も掲載するため、作業中の写真撮影も行います。それらの事務的な仕事の他に、主任の仕事というと、現場の段取りです。

-現場の段取りは、マンションや工場のような広い場所は個人邸とは違う大変さがありそうですね。

(小嶋)
広い現場なので一日で終わらない場合もあります。そんな中、どの道具が必要か、どの車両が良いのか、などは、他の現場の責任者の方と相談して決めています。作業後に発生材を車に積みこみ持ち帰るのですが、車によって積み込める量が違いますので、どの車両が適切か、他の現場との兼ね合いで考えて決めています。
当日、どこから始めるかなどは、仲間と一緒に決めることもありますし、自分が決めることもあります。工場の現場などは安全管理が特に厳しいので、危険な事が無いよう、全員で注意をしながら安全第一で進めています。事故にならないように、その点はどの現場でもとても気をつけています。現場に向かう道中の社内で危険な場所の連絡をして「こういうところは気をつけて作業しましょう」と情報共有もしますし、作業を始める前に自分が最初にグルっと回って現場を確認することもあります。

―チームワークも大切ですし、職人の技術以外にも身につけるべき事がたくさんありますね。小嶋さんから見て、造園はどんな仕事でしょうか。

(小嶋)
造園は、きれいに手掛けたことが形にでます。刈込みのラインを揃えるところとか、草が一掃されるとか。そういうところがとても良いと思います。一人の現場では夢中になって進めています。休憩を取らずに続けることもあります。印象深い現場はたくさんありすぎて直ぐに思いつきませんし、大変さはあまり感じません。「きれいになって良かった」という感想しか出てこないくらいです。やり残ししてしまうと帰りの車の中で気持ち悪く感じます。造園の仕事は、、、、、嫌いじゃないです。

―最後の一言は照れ隠しですかね。本当に、この仕事が好きで楽しんでやっていることが伝わってきます。目標とする職人像を教えてください。

(小嶋)

社長や先輩は、自分よりも仕事が段違いにできます。大きな庭は本数も多く管理も大変ですが、自分も一人でできる、一日で完了できるようになるのが目標です。技術も、まだまだです。木によって使うハサミや道具を使い分けて行く必要がありますし、へこたれる日もあります。ですが、いい毎日、いい日ばかりでは無いと思っていますので。

技術の面では、経験年数と年齢を満たせず、まだ受験できないのですが、一級造園技能士は合格したいです。

―今までも順調に経験を重ね、職人として技術も身につけ、できることも増えてきています。家族の方や周りの方からは、どのような言葉をかけられますか。

(小嶋)

親から言われるのは、「まだまだ始まったばかりだぞ。」「会社の人たちに迷惑をかけるなよ」ということです。大きな事故などで会社や先輩に迷惑をかけないようにと思います。

そして、先輩方も仰っていますが、一日一日を大切に、仕事して行きたいと思っています。

二級造園技能士の若き職人、小嶋さんの挑戦は始まったばかり。庭木に例えると新緑の青葉の少し前くらい、といった頃でしょうか。これからの成長が楽しみです。