みなさん、こんにちは
なかなか秋がやってこなかった遅れを取り戻すかのように、季節の歩みが10月は早いですね。朝晩と昼間の気温差を大きく感じます。

―今月の「庭師の現場から」は、
入社半年、他の庭師からの信頼と期待もあつい古賀さんです。今は、茅ヶ崎の海岸で竹製の砂防策の作成手入れを行う現場に携わっています。造園の仕事に就くのは初めてだったそうです。

(古賀)

前職は運輸会社の勤務で12年勤めていました。フォークリフトを運転して、工場内に運び込まれる品物の在庫管理を行っていました。今、47歳ですが、65歳で定年としても、それ定年までの10数年をどこで働くかを考えるようになりました。趣味でサーフィンをしているので、自然が元から好きなこともあり、外で働く仕事や自然の中で働く仕事を探していた中、こちらの求人に出会いました。一念発起して転職しました。

-40代半ばで未経験の業界への転職です、迷いや不安はありませんでしたか。

(古賀)

全くの未経験で、自分が出来るのか不安はありましたが、面接をしていただいた社長からは「未経験でも大丈夫」と。在籍社員の方でも未経験の方もいらっしゃると聴いたので、安心して飛び込んでいけました。

面接の前にホームページを見ましたが、社員のみなさんが若い、というのが印象的でした。前職では自分が一番年齢的に若かったので。若い人たちのエネルギーに触れるのはいいなと思いましたし、面接でお会いした社長も柔らかな物言いですが、とてもパワーを持っている方で、その場で「お願いします」と応えました。

―いわゆる職人の世界に初めて関わるという点では、いかがでしたか。入社してみて印象が変わったことなど、ありますか。

(古賀)

「頑固一徹な親方のもと、上下関係がとても厳しい業界」というイメージは確かにあったのですが、面接での社長の話し方は、穏やかで安心感がありました。社長も自分より若く、これからの未来を感じられる会社だなと思いました。

 働き始めてからも、ここのみなさんは元気が良くて。年上の自分にもとてもフレンドリーに接してくれて、仕事の仕方や間違いの指摘など、自分のためになることを言ってくれます。自分より年上の人たちに気を遣って仕事を教えていた前職の経験からみたら、若い人たちからそういう風に言ってもらえることは逆に新鮮で、エネルギーをもらっています。

前職の経験を生かし、重機の使用もとてもスムーズです

ー仕事の内容だけではなく立場も大きく変わったということですね。職人の世界は「仕事は見て盗め」のイメージがある方も多いかもしれませんが、その点はいかがですか。

(古賀)
自分も職人の世界は教えないのかなと思っていたのですが、こちらでは、みなさん、「1」聞いたことを「10」くらいで返して教えてくださる。説明一つにしても、とても分かりやすい説明をしてくださるんです。前職での経験を造園に落とし込み上手に活かしてらっしゃるのかな、と思います。自分ももっと頑張ろうと日々、思います。

―約半年、振り返って印象深い現場はというと?

(古賀)

ものすごく濃い半年弱でした。
暑さもあり肉体的には疲労しているけれど、河川の草刈の現場などは、ボウボウに生えた草が自分達の作業後にきれいになったところを見るのはすごく気持ちがいいです。
公共の現場での作業中は、通行される近隣住民の方から、「ごくろうさん」とか「きれいにしてくれてありがとう」と声を掛けていただくのがうれしいです。前職は閉鎖された工場の中での仕事だったので感謝の言葉を掛けられることもあまり有りませんでした。今は、見ず知らずの通行人の方から声を掛けられると、頑張ってよかったと思います。

一方で、年間管理で担当するマンションの現場は、住人の方の往来があるので、草刈機のエンジン音や小石の飛散などに気を付けています。竹内庭苑に定期的に仕事を任せていただいているのだからこそ、住人の方の生活の妨げにならないように注意をしています。

―工場内のような限られた場所ではなく、不特定多数の人との関わりや社会との関りのある仕事だからこそ、感じられることもあれば、考えることもありますね。造園業の魅力といったら、どんな点にあると思いますか。

(古賀)
自分達が住んでいる地域や育った地域には若い人たちも愛着があると思います。
湘南地区には、子どもの遊び場になる自然がまだまだ残っています。そういった場所の草を刈ってきれいにするのが造園の仕事の一つです。自分達が育った環境を自分達がきれいにする、造園は地域に貢献している仕事だと思います。愛着のある地域に貢献できること、造園は誇りを持てる仕事の一つだと思います。

―始まったばかりの造園職人の世界ですが、理想とする職人像はありますか。

(古賀)

「自分もいつかこうなりたいな」と思う一日がありました。それは、仕事後の講習会で社長の剪定を見させてもらった時のことです。ハサミに迷いが無く、まさに職人だなと思いました。社長や技術のある先輩は、簡単そうに剪定をされますが、自分もやってみようとしても、まずどれを伐ったら良いか分からない、となってしまいます。好きなようにやってみなさいと言われて、好きなようにやってみても、無残な形になってしまう。「どこをどう伐ればどうなる」「これは残しておくと伸びた時に面白くなる」というイメージが社長の頭の中にはあるんですね。自分も、目指して行きたいです。

―職人技を目の当たりにされたのですね。そこに向かって、まず今、古賀さんが取り組んでくことを教えてください。

(古賀)

前職の方から「造園は掃除10年」と言われたこともあったのですが、あながち間違いではないなと。先輩からも「バカじゃ掃除できないぞ」と言われます。草刈り後の掃除は、どの場所を、どの順番から掃除していくのか、集めた草をどうやってトラックで回収するのか、などとても頭を使います。効率を考えたら、先輩に聴いて教えてもらうばかりではいけません。経験を活かして自分でも考えなければなりません。
機械ももっと上手に使えるようになれば、15分かかっていた作業も5分でキレイにできるようになります。樹木の名前も覚えなければならないし。。。
あと10年で自分は57歳です、やることは山積みですが、一日一日勉強しながら、若い人たちにも負けないぞの精神で頑張って行こうと思います。

身につけることは幅が広く奥が深い造園職人の世界です。その人なりのこれまでの経験が活かされるのも魅力です。古賀さんの1年後が楽しみです。